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膜貫通型セリンプロテアーゼのヘプシンはSTINGを切断することによってI型インターフェロン誘導を抑制する

The transmembrane serine protease hepsin suppresses type I interferon induction by cleaving STING

Research Article

Science Signaling 15 Jun 2021:
Vol. 14, Issue 687, eabb4752
DOI: 10.1126/scisignal.abb4752

Fu Hsin1,2†, Yu-Chen Hsu2,3†, Yu-Fei Tsai2, Shu-Wha Lin2, Helene Minyi Liu1*

  1. 1 Department of Biochemistry and Molecular Biology, College of Medicine, National Taiwan University, Taipei City, Taiwan.
  2. 2 Department of Clinical Laboratory Sciences and Medical Biotechnology, College of Medicine, National Taiwan University, Taipei City, Taiwan.
  3. 3 Liver Disease Prevention and Treatment Research Foundation, Taipei City, Taiwan.

* Corresponding author. Email: mliu@ntu.edu.tw

† Present address: No. 1 Section 1 Ren-Ai Road, Taipei City, Taiwan 10052.

要約

多くのウイルスプロテアーゼは、インターフェロン(IFN)誘導経路のアダプタータンパク質を切断することによって、抗ウイルス自然免疫の回避を仲介する。宿主プロテアーゼも、自然免疫と炎症に関与する。今回われわれは、主に肝細胞に存在する膜貫通型プロテアーゼのヘプシン(別名TMPRSS1)が、ウイルス感染時のI型IFN誘導を抑制したことを報告する。マウス胚線維芽細胞(MEF)においてヘプシンをノックアウトすると、ウイルス感染によって誘導されるIfnb1の発現が増加し、Ifnb1プロモーターレポーターとIFN感受性応答エレメントプロモーターレポーターの発現が増加した。培養ヒト肝細胞およびHEK293T細胞においてヘプシンを異所性に発現させると、STINGの存在量が減少することによって、ウイルス感染時のIFNβ誘導が抑制された。これらの作用は、ヘプシンのプロテアーゼ活性に依存した。われわれは、STINGにおけるヘプシンの推定標的部位を同定し、この部位の変異により、ヘプシンを介する切断からSTINGが保護されることを示した。肝細胞に加えて、いくつかのヘプシン産生前立腺がん細胞株でも、STINGを介したI型IFN誘導および応答の低下が認められた。これらの結果から、STINGを介するI型IFN誘導の抑制におけるヘプシンの役割が明らかにされ、これが肝細胞の慢性ウイルス感染への脆弱性に寄与していると考えられる。

Citation: F. Hsin, Y.-C. Hsu, Y.-F. Tsai, S.-W. Lin, H. M. Liu, The transmembrane serine protease hepsin suppresses type I interferon induction by cleaving STING. Sci. Signal. 14, eabb4752 (2021).

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