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マイトファジーの代替
An alternative to mitophagy
Science Signaling 10 Aug 2021:
Vol. 14, Issue 695, eabl7652
DOI: 10.1126/scisignal.abl7652
Annalisa M. VanHook
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: avanhook@aaas.org
C. G. Towers, D. K. Wodetzki, J. Thorburn, K. R. Smith, M. C. Caino, A. Thorburn, Mitochondrial-derived vesicles compensate for loss of LC3-mediated mitophagy. Dev. Cell 56, 2029-2042.e5 (2021).
Google Scholar
L. Poillet-Perez, E. White, MDVs to the rescue: How autophagy-deficient cancer cells adapt to defective mitophagy. Dev. Cell 56, 2010-2012 (2021).
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がん細胞はオートファゴソームを必要としない経路を介してミトコンドリアの成分を再利用できる
要約
オートファジーは、正常細胞にとって重要であり、がん細胞においては、栄養制限条件下かつ低酸素条件下で高代謝活性を持続するために亢進されていることが多い(Poillet-Perez and White参照)。ミトコンドリアの恒常性の維持にきわめて重要であるマイトファジーは、損傷した機能不全のミトコンドリアを標的とし、その後にリソソームと融合するオートファゴソームまで輸送することに特化した選択的オートファジーである。Towersらは、オートファゴソームを介してミトコンドリアを再利用する経路を欠失させても生存したオートファジー依存性の乳がん細胞と肺がん細胞を選択することによって、ミトコンドリアのカーゴをリソソームまで輸送するための代替経路を同定した。2つの必須オートファジータンパク質(ATG7またはFIP200)のうちのいずれかを欠損させると、大部分の細胞は増殖を停止したが、一部のまれなクローンは、高い増殖速度を維持した。これらの細胞では、ミトコンドリアの成分をその後にリソソームと融合することになる後期エンドソームまで輸送するミトコンドリア由来小胞(MDV)の産生が亢進されていた。MDVの形成と後期エンドソームまでの輸送にはソーティングネキシン9(SNX9)が必要とされ、MDVと後期エンドソームとの融合にはRasファミリーのGTPアーゼRAB7Aが必要とされた。SNX9をノックダウンさせると、オートファジー欠損細胞でのみ、増殖の停止とミトコンドリア呼吸の低下がみられ、オートファジー能を有する細胞では、そのような影響はみられなかった。これらの結果は、ミトコンドリアの恒常性を維持するための代替機構を同定するだけでなく、MDV媒介経路とオートファジーの両方を標的にすることで、オートファジーのみを標的にするよりも効果的にがん細胞を死滅させられる可能性を示唆している。