免疫寛容のための胆汁酸

Bile acids for immune tolerance

Editor's Choice

SCIENCE SIGNALING
14 Sep 2021 Vol 14, Issue 700
DOI: 10.1126/scisignal.abm3135

ANNALISA M. VANHOOK

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: avanhook@aaas.org

W. Li, S. Hang, Y. Fang, S. Bae, Y. Zhang, M. Zhang, G. Wang, M. D. McCurry, M. Bae, D. Paik, E. A. Franzosa, F. Rastinejad, C. Huttenhower, L. Yao, A. S. Devlin, J. R. Huh, M, D. McCurry, M, Bae, D, Paik, E, A. Franzosa, F, Rastinejad, C, Huttenhower, L, Yao, A. S. Devlin, J. R. Huh, A bacterial bile acid metabolite modulates Treg activity through the nuclear hormone receptor NR4A1. Cell Host Microbe 29, 1366-1377 (2021).
CROSSREF  PUBMED  GOOGLE SCHOLAR

細菌の胆汁酸代謝物であるisoalloLCAは、Treg細胞の分化を刺激する。

要約

制御性T(Treg)細胞は共生微生物に対する寛容を促進し、それらの調節不全は炎症性腸疾患(IBD)に関連する。細菌が宿主由来の一次胆汁酸から生成する特異的な二次胆汁酸は、Treg細胞の分化と機能に影響を及ぼす多数の因子の一部である。二次胆汁酸代謝物であるイソアロリトコール酸(isoalloLCA)は、in vitroで、Treg細胞分化に必要な転写因子をコードするFoxp3の発現を刺激することによって、Treg細胞の分化を促進する。Liらは、腸内細菌叢の主要菌群であるバクテロイデスが、マウス腸内のisoalloLCAの供給源であることを発見した。著者らは、さまざまなバクテロイデス属菌が二次胆汁酸の3-oxoLCAからisoalloLCAを合成する生合成経路を同定した。In vitroでは、Treg細胞分化のisoalloLCAを介する増強には核内ホルモン受容体NR4A1が必要であり、この受容体がFoxp3の発現を直接刺激した。クローン病または潰瘍性大腸炎患者の便サンプルから収集された既存のメタボロームおよびメタゲノムデータの解析により、isoalloLCAとその生合成に必要な細菌遺伝子の両方が、これらのタイプのIBD患者では非IBD対照者と比較して少ないことが示された。以上の結果により、isoalloLCAが、腸内の免疫恒常性に直接影響を及ぼす細菌代謝物の増え続けるリストに加えられるが、isoalloLCAまたはその他の胆汁酸誘導体を食事で補充することによってIBD症状が改善されるかどうかは、まだ不明である。

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2021年9月14日号

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免疫寛容のための胆汁酸

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