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リンパ節コロニー形成と転移

Lymph node colonization and metastasis

Editor's Choice

SCIENCE SIGNALING
17 May 2022 Vol 15, Issue 734
DOI: 10.1126/scisignal.adc9985

AMY E. BAEK

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: abaek@aaas.org

N. E. Reticker-Flynn, W. Zhang, J. A. Belk, P. A. Basto, N. K. Escalante, G. O. W. Pilarowski, A. Bejnood, M. M. Martins, J. A. Kenkel, I. L. Linde, S. Bagchi, R. Yuan, S. Chang, M. H. Spitzer, Y. Carmi, J. Cheng, L. L. Tolentino, O. Choi, N. Wu, C. S. Kong, A. J. Gentles, J. B. Sunwoo, A. T. Satpathy, S. K. Plevritis, E. G. Engleman, Lymph node colonization induces tumor-immune tolerance to promote distant metastasis. Cell 185, 1-19 (2022).
PUBMED  ISI  GOOGLE SCHOLAR

リンパ節は、転移のための免疫寛容経路を開く。

がん細胞のリンパ節(LN)への転移は、固形腫瘍の重要な予後指標であり、LNは抗腫瘍免疫と免疫治療アプローチにおいて重要な役割を果たす。当初は、原発腫瘍細胞の転移性拡散のための受動的な導管であると考えられていたが、研究によって、LNと遠隔転移とのより複雑な関係が示唆されている。Reticker-Flynnらは、最初に転移性B16-F0メラノーマ株を用い、LNに選択的に転移する細胞株を作製することによって、遠隔転移病変の形成におけるLN転移細胞の役割を調べた。マウスに親細胞株またはLN標的細胞株を移植して腫瘍を形成し、続いて親細胞を静脈注射した。LN腫瘍を有するマウスのほうが、肺における転移量が大きかったことから、LN標的細胞株が、遠隔転移性播種に影響を及ぼす役割を担っていることが示唆された。世代、LN、系統が異なる腫瘍株のRNA-seq解析により、I型およびII型インターフェロン(IFN)応答に関連する遺伝子が異なって発現していることが示された。世代の異なる細胞株のATAC-seq解析では、これらの細胞株はIFN曝露の結果としてエピジェネティックに異なることが示された。LN細胞株のさまざまな世代にわたり、IFNに応答して、遺伝子Cd274(PD-L1)およびB2m(MHC-Iサブユニットβ2ミクログロブリン)の発現が増加した。親細胞株およびLN細胞株をIFNで刺激すると、PD-L1およびMHC-Iの存在量が増加し、IFN曝露によって、LN転移に必要とされ、I型IFN受容体に依存する、IFN応答遺伝子シグネチャーが生じた。MHC-1遺伝子の発現が増加したLN細胞株は、親細胞と比較して、ナチュラルキラー(NK)細胞の標的になりにくく、NK細胞除去は、親腫瘍を有するマウスにおいてLN転移を増加させるのに十分であった。PD-L1存在量の増加により、T細胞抑制を介する転移も増加した。野生型またはNOD-scid IL2Rgnull(NSG)マウスに、親細胞株またはLN標的細胞株を移植して腫瘍を形成し、続いて親細胞を静脈注射した。NSGマウスのLN腫瘍は、肺における転移性増殖を促進しなかったことから、転移の違いの背景にはリンパ球応答の差異があることが示された。LN転移を有するマウスのLNから白血球を養子移植し、続いて親細胞を移植すると、肺コロニー形成が増加したことから、転移性LN白血球が十分に転移を促進することが示された。制御性T(Treg)細胞もLNにおいて増加しており、LN株由来腫瘍を有するマウスの血清のサイトカインプロファイリングでは、TGF-β量の増加が認められた。抗TGF-β抗体によって、LN腫瘍誘導性の遠隔転移が抑制された。マウスにおいてTreg細胞を除去すると、LN転移が減少した。LN腫瘍を伴うまたは伴わない原発腫瘍を有するマウスからTreg細胞を単離し、腫瘍を有し親細胞の静脈内投与を受けたマウスに移植した。LN腫瘍を有するマウスからTreg細胞を移植したマウスのほうが、肺転移量が大きかった。最後に、肺転移を促進するために、CD4+ T細胞はLN腫瘍に特異的な腫瘍抗原認識を必要とし、LN転移は抗原特異的Treg細胞の増殖を誘導した。これらの知見は、免疫応答の広範な変化と腫瘍特異的免疫寛容の形成を介して転移進行を導く、LNの積極的な役割に関する重要な洞察を提供するものである。

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