日なたは腹が減る

Hungry in the sun

Editor's Choice

SCIENCE SIGNALING
9 Aug 2022 Vol 15, Issue 746
DOI: 10.1126/scisignal.ade2732

WEI WONG

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: wwong@aaas.org

S. Parikh, R. Parikh, K. Michael, L. Bikovski, G. Barnabas, M. Mardamshina, R. Hemi, P. Manich, N. Goldstein, H. Malcov-Brog, T. Ben-Dov, O. Glaich, D. Liber, Y. Bornstein, K. Goltseker, R. Ben-Bezalel, M. Pavlovsky, T. Golan, L. Spitzer, H. Matz, P. Gonen, R. Percik, L. Leibou, T. Perluk, G. Ast, J. Frand, R. Brenner, T. Ziv, M. Khaled, S. Ben-Eliyahu, S. Barak, O. Karnieli-Miller, E. Levin, Y. Gepner, R. Weiss, P. Pfluger, A. Weller, C. Levy, Food-seeking behavior is triggered by skin ultraviolet exposure in males. Nat. Metab. 4, 883-900 (2022).

C.Dieguez, R.Nogueiras, Sun exposure stimulates appetite in males. Nat. Metab. 4, 796-797 (2022).

紫外線暴露は男性では食欲を刺激するホルモンの産生を誘発するが女性では誘発しない

性差は、食欲調節を含む生理学のすべての側面で生じる。Parikhらは、皮膚の皮下脂肪細胞で、雄性ではUVB照射に応答して食欲を刺激し、雌性ではエストロゲンによって抑制される経路を発見した(DieguezとNogueirasも参照)。栄養調査を解析したところ、男性では夏にエネルギー消費が増加したが、女性ではエネルギー消費に季節変動はなかった。UVB照射への毎日の曝露は、オスのマウスでより多くの食物摂取と食物探索行動をもたらしたが、メスのマウスではなかった。グレリンは食欲を刺激するホルモンで、通常は胃で産生されるが、他の組織でも産生されることがある。毎日のUVB暴露は、男性のドナー由来の皮膚試料、オスマウスの循環および皮膚の皮下脂肪細胞において、mRNAまたはタンパク質レベルでグレリンの量を増加させ、これらは、メスの対照ではみられなかった効果であった。UVB曝露後のオスマウスの食物摂取量の増加は、グレリン合成経路の酵素またはグレリン受容体の阻害剤によって減弱した。UVB照射は転写因子p53を活性化し、オスマウスの脂肪細胞でp53を欠損させると、グレリンmRNAの皮下発現、循環グレリンおよび食物探索行動のUVB誘導性増加を抑止した。エストロゲンは、グレリンプロモーターのp53占有率を低下させ、p53を介したグレリンの転写活性化に対するUVBの効果には、エストロゲンの欠如が必要であることを示唆した。したがって、エストロゲン低下薬で処理した場合、UVB照射への曝露は、ヒト女性皮膚試料の脂肪組織のグレリン量を増加させた。同様に、UVB照射は、卵巣切除されたメスマウスの食物探索行動と食物摂取量を増加させた。太陽への曝露は、男性被験者のグレリン循環量と空腹感を増加させたが、女性被験者では増加させなかった。このように、UVB照射は、エストロゲンによって抑制されるp53依存性経路を介して、皮膚の皮下層の脂肪細胞でグレリン産生を誘導することにより、オスの食物摂取を刺激する。

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2022年8月9日号

Editor's Choice

日なたは腹が減る

Research Article

生体外で嗅毛の嗅覚受容体を機能的にプロファイリングするための遺伝学的プラットフォーム

KRASQ61変異の機能的および生物学的不均一性

最新のEditor's Choice記事

2024年4月9日号

伸張を感知して食欲を抑える

2024年4月2日号

アルツハイマー病に関連する脂肪滴

2024年3月26日号

傷つけるのではなく助けるようにミクログリアにバイアスをかける

2024年3月19日号

痒みを分極化する

2024年3月12日号

抗体の脂肪への蓄積による老化