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生体外で嗅毛の嗅覚受容体を機能的にプロファイリングするための遺伝学的プラットフォーム
A genetic platform for functionally profiling odorant receptors in olfactory cilia ex vivo
SCIENCE SIGNALING
9 Aug 2022 Vol 15, Issue 746
DOI: 10.1126/scisignal.abm611
Masayo Omura1,2,†, Yukie Takabatake1,2,†, Eugene Lempert1, Sigi Benjamin-Hong2, Charlotte D'Hulst1,2, Paul Feinstein1,2,3,*
- 1 Department of Biological Sciences, Hunter College, City University of New York, New York, NY 10065, USA.
- 2 Yesse Technologies Inc., New York, NY 10016, USA.
- 3 Graduate Center Programs in Biochemistry, Biology and CUNY Neuroscience Collaborative, 365 5th Ave., New York, NY 10016, USA.
* Corresponding author. Email: feinstein@genectr.hunter.cuny.edu
† These authors contributed equally to this work.Copyright © 2022 The Authors, some rights reserved; exclusive licensee American Association for the Advancement of Science. No claim to original U.S. Government Works
受容体を嗅ぎつける
嗅覚受容体(OR)は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)ファミリーのサブセットを構成しており、鼻粘膜上皮の嗅覚ニューロン(OSN)の繊毛で発現する。OSNはORをコードする遺伝子を単一発現するので、in vivoにおいて、任意のORを活性化する特異的な匂いの同定を可能にするには、ORの存在量が少なすぎる。Omuraらは、トランスジェニックマウスにおいて、蛍光標識されたOSNで特異的なヒトORを過剰発現させるプラットフォームを開発した。これらのOSNから単離された繊毛には、ORが濃縮されており、ORシグナル伝達経路の全構成要素が含まれていた。これらの繊毛を、液相と気相の両方において、広範なリガンド候補への応答についてスクリーニングすることで、ORのプロファイリングが可能になった。このプラットフォームは、ヒトORを生体外で脱オーファン化するために使用できる。
要約
ヒトによる匂いの知覚の分子基盤は、嗅覚受容体(OR)を生来の環境の外で研究するのが難しいため、謎のままである。in vitroの細胞表面でのOR発現効率の低さが原因で、ORを発現させて機能的にプロファイリングするための努力によってもたらされた成果は限られている。嗅覚ニューロンの表面から突出している繊毛と呼ばれる構造体は、嗅覚シグナル伝達機構の全構成要素を含有しており、生体外のプレートアッセイ上で匂い特異的な反応を迅速に測定可能である。本稿でわれわれは、以前のアッセイに比べて10倍から100倍のリガンド感受性を示すOR1A1とOR5AN1という2つのヒトORを発現するマウスの嗅覚ニューロンから単離された繊毛を用いる手法について説明する。マウス1匹で384ウェルアッセイプレートの4000ウェルに分注できるほど十分な量の嗅毛を産生でき、単離された繊毛は冷凍貯蔵による保存が可能である。この供給ラインは、ヒトの嗅覚を解読する可能性をもつ高感度で規模拡張性の高い生体外での匂いスクリーニングプラットフォームを提供する。