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DNA修復を促進して線維症を予防する

Promoting DNA repair to prevent fibrosis

Editor's Choice

SCIENCE SIGNALING
23 Jan 2024 Vol 17, Issue 820
[DOI: 10.1126/scisignal.ado0928]

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA.

Corresponding author. Email: lferrare@aaas.org

C. Zhang, L. Chen, C. Xie, F. Wang, J. Wang, H. Zhou, Q. Liu, Z. Zeng, N. Li, J. Huang, Y. Zhao, H. Liu, YTHDC1 delays cellular senescence and pulmonary fibrosis by activating ATR in an m6A-independent manner. EMBO J. 43, 61-86 (2024).

YTHDC1はDNA修復キナーゼのATRを活性化し、ブレオマイシン誘発肺線維症を抑制する。

特発性肺線維症(IPF)は有効な治療法がない進行性肺疾患であり、IPF患者では肺胞上皮細胞がDNA損傷を蓄積し、結果として老化を起こす。特定の化学療法を受けている患者では、薬剤が引き起こす肺炎症のために、IPF発症または増悪のリスクがかなり高い。Zhangらは、マウスの肺においてDNA損傷に対する修復応答を促進し、炎症誘発性の肺線維症を予防する機構を同定した。健康な肺と比較して、IPF患者またはブレオマイシン誘発肺線維症のマウス(IPFモデル)の線維化した肺では、m6A修飾RNAに結合して安定化させ、間接的にDNA修復を支援するタンパク質である、YTHDC1の量が少なかった。IPFモデルマウスの肺においてYTHDC1をノックダウンすると、DNA損傷の蓄積、老化の誘導、線維症の発症が増悪した。これらの表現型は、野生型YTHDC1またはm6Aと結合できない変異体が肺に過剰発現すると阻止された。培養細胞の生化学分析により、YTHDC1は、DNA損傷と複製ストレスに対する応答に重要なキナーゼであるATRの活性化を促進し、DNA結合性のATR活性化タンパク質であるTopBP1のATRへの動員を増強することがわかった。この作用は、YTHDC1のm6Aリーダーとしての機能に依存しなかった。これらの結果は、YTHDC1のこれまで知られていなかった生化学的、生物学的および生理学的機能を明らかにしている。さらなる研究により、この洞察が患者のための臨床的進歩につながるかどうかが明らかになるであろう。

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