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NLRP12はNLRP3と相互作用してヒトNLRP3インフラマソームの活性化を遮断する

NLRP12 interacts with NLRP3 to block the activation of the human NLRP3 inflammasome

Research Article

SCIENCE SIGNALING
23 Jan 2024 Vol 17, Issue 820
[DOI: 10.1126/scisignal.abg8145]

Jared R. Coombs1, †, Alina Zamoshnikova1, †, Caroline L. Holley1, Madhavi P. Maddugoda1, Daniel Eng Thiam Teo1, Camille Chauvin2, ‡, Lionel F Poulin3, Nazarii Vitak4, Connie M. Ross1, 4, Manasa Mellacheruvu1, Rebecca C. Coll1, §, Leonhard X. Heinz1, ¶, Sabrina S. Burgener1, Stefan Emming1, Mathias Chamaillard2, Dave Boucher1, #, Kate Schroder1, *

  1. 1 Institute for Molecular Bioscience, University of Queensland, St Lucia 4072, Australia.
  2. 2 U1019, Institut Pasteur de Lille, University of Lille, Centre National de la Recherche Scientifique, INSERM, Centre Hospitalo-Universitaire Lille, Lille 59019, France.
  3. 3 Laboratory of Cell Physiology, INSERM U1003, University of Lille, Lille 59000, France.
  4. 4 School of Chemistry and Molecular Biosciences, University of Queensland, St Lucia 4072, Australia.

* Corresponding author. Email: k. schroder@ uq. edu. au

† These authors contributed equally to this work.

‡ Present address: INSERM U1138, Centre de Recherche des Cordeliers, Paris 75006, France.

§ Present address: Wellcome-Wolfson Institute for Experimental Medicine, Queen's University Belfast, Belfast BT9 7BL, UK.

¶ Present address: Division of Rheumatology, Department of Internal Medicine III, Medical University of Vienna, Vienna 1090, Austria.

# Present address: York Biomedical Research Institute, Department of Biology, University of York, York YO10 5NG, UK.

Editor's summary

インフラマソームと呼ばれる多タンパク質複合体の形成は、感染に対する自然免疫応答にとってきわめて重要である。一方で、自己炎症性疾患の根底には、インフラマソームの不適切な活性化がある。Coombsらは、細胞数測定に基づくスクリーニングによって、NOD様受容体ファミリーのメンバーであるNLRP3およびNLRP6は細胞内でインフラマソームを形成するが、NLRP12は形成しないことを明らかにした。それどころか、NLRP12はNLRP3インフラマソーム形成の内在性阻害因子として機能した。自己炎症性疾患に関与するNLRP12の変異型は、NLRP3インフラマソームの活性化を抑制できなかったことから、現在臨床試験中のNLRP3阻害因子は、NLRP12関連自己炎症性疾患を治療するものとみなされるべきである。—John F. Foley

要約

インフラマソームは、炎症を駆動して病原体や自己免疫性疾患の免疫病理に対する防御免疫に寄与する多タンパク質複合体である。インフラマソームは、インフラマソームの足場タンパク質が活性化シグナルを感知してアダプタータンパク質ASCとシグナル伝達プラットフォームを形成したときに会合する。NOD様受容体(NLR)のNLRPサブファミリーには、インフラマソーム核形成因子(NLRP3など)のほか、機能亢進性NLRP3インフラマソームを生成する機能獲得型NLRP3変異体によって引き起こされる疾患に似た家族性自己炎症性疾患と遺伝学的に関連づけられるNLRP12も含まれる。われわれはスクリーニングを行い、古典的なパイリン-NACHT-LRRドメイン構造をもつNLRのなかからASCインフラマソームの核形成タンパク質を同定した。ASC重合を開始させて「スペック(斑点)」を形成できたのはNLRP3およびNLRP6のみで、NLRP12はASC重合の核となることができなかった。一方で、野生型NLRP12は、野生型および機能獲得型NLRP3によって誘導されるASCインフラマソームの会合を抑制したが、このような作用は疾患関連NLRP12変異体ではみられなかった。NLRP3インフラマソームの会合を抑制するNLRP12の能力は、ヒトNLRP3に限定され、野生型マウスNLRP3では観察されなかった。さらに、NLRP12変異体関連炎症性疾患を呈する患者由来の末梢血単核球では、NLRP3刺激に応答して産生される炎症性サイトカインIL-1βの量が増加していた。このように、今回の知見は、NLRP12の生物学について洞察を与えるものであり、NLRP3に駆動される疾患の治療を目的として臨床試験中のNLRP3阻害因子がNLRP12関連自己炎症性疾患の治療にも有効である可能性を示唆している。

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