骨髄チームを招集

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Editor's Choice

SCIENCE SIGNALING
5 Mar 2024 Vol 17, Issue 826
[DOI: 10.1126/scisignal.ado9536]

Amy E. Baek

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: abaek@aaas.org

M.Ishikawa, Z. S. Hasanali, Y. Zhao, A. Das, M. Lavaert, C. J. Roman, J. Londregan, D. Allman, A. Bhandoola, Bone marrow plasma cells require P2RX4 to sense extracellular ATP. Nature 626, 1102-1107 (2024).

骨芽細胞から放出されるATPがプリン作動性受容体P2RX4を介してシグナルを伝達し、形質細胞の生存を最適化する。

細胞外環境中の大量のアデノシン三リン酸(ATP)の存在は、損傷した細胞によって傷害が生じていることを示し、強力な炎症促進性応答を刺激する。健康な細胞は低濃度のATPの輪で取り囲まれており、これらのATPは、例えば骨芽細胞ではギャップ結合タンパク質であるパネキシン3(PANX3)を介して、制御された方法で放出されている。Ishikawaらは、骨髄微小環境においてPANX3依存性のATP放出が抗体産生B細胞である形質細胞の生存に及ぼす影響を検討した。Panx3−/−マウスでは骨髄コンパートメント中の骨髄系細胞、B細胞前駆細胞および形質細胞数が減少しており、さらに血清中のIgG、IgMおよびIgA抗体量も減少していた。野生型(WT)骨髄細胞をPanx3−/−骨芽細胞と共培養させたとき、他の共培養条件と比べてIgG分泌形質細胞数が最も減少した。Panx3−/−骨芽細胞の培地中では細胞外ATP(eATP)濃度が減少していた。eATP濃度を回復させると、Panx3−/−骨髄細胞中の形質細胞の回収率も増加した。マウス骨髄の形質細胞ではP2RX4(ATPを検出するイオンチャネル)が非常に豊富に存在し、B細胞におけるP2rx4変異により血清免疫グロブリン濃度および骨髄中の形質細胞数が対照と比べて減少していた。ただし、eATPの添加によっても形質細胞数は回復しなかった。特定の抗原に対して骨髄形質細胞の集団が形成されるためには、P2XR4も必要であった。P2RX4の特異的阻害により、eATPによる形質細胞集団の維持能力が低下し、骨髄形質細胞数が減少した。特異的抗原に反応する抗体の血清中濃度も減少した。P2RX4の阻害は、骨髄形質細胞においてC/EBP相同タンパク質(CHOP)依存性の細胞死経路を誘導する、小胞体ストレス応答を引き起こした。本研究から、防御性抗体分泌細胞の最適化された生存を誘導する、骨芽細胞依存性の経路が明らかとなった。

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