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裸のブレブが細胞を食細胞に曝露する

Nude blebs expose cells to phagocytes

Editors' Choice

SCIENCE SIGNALING
30 Apr 2024 Vol 17, Issue 834
[DOI: 10.1126/scisignal.adq0353]

Annalisa M. VanHook

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA.

Corresponding author. Email: avanhook@aaas.org

T. Le, I. Ferling, L. Qiu, C. Nabaile, L. Assunção, C. D. Roskelley, S. Grinstein, S. A. Freeman, Redistribution of the glycocalyx exposes phagocytic determinants on apoptotic cells. Dev. Cell 59, 853-868.e7 (2024).

S. M. Kelley, K. S. Ravichandran, No need to "sugar coat": Removing glycocalyx on apoptotic blebs promotes phagocytosis. Dev. Cell 59, 827-829 (2024).

膜ブレブ形成によってグリコカリックスが局在変化すると、マクロファージがアポトーシス細胞を認識できるようになる。

グリコカリックスは、多糖、糖タンパク質、糖脂質から成る粘稠なマトリックスで、アクチン細胞骨格に係留されており、細胞を機械的損傷や免疫攻撃、病原体から保護する(KelleyとRavichandranのcommentary参照)。Leらは、グリコカリックスが細胞を貪食から保護しており、膜ブレブ形成によってグリコカリックスが局在変化すると、アポトーシス細胞の貪食が促進されることを見出した。グリコカリックスの主成分であるヒアルロン酸(HA)の酵素的除去により、"eat me"シグナルであるホスファチジルセリンを呈示する、またはIgGオプソニン化により貪食の目印を付けられた、非アポトーシス細胞へのマクロファージの結合が増加した。HAとその細胞骨格係留型受容体であるCD44は、アポトーシス細胞の細胞体に存在したが、これらの細胞に形成される水疱様の膜膨隆(ブレブ)と、健康な細胞において薬理学的に誘発したブレブには存在しなかった。マクロファージは、アポトーシス細胞の細胞体取り込みに先駆けてブレブを貪食し、アポトーシス細胞から単離されたブレブを容易に取り込んだが、外因性HAに覆われた単離ブレブは取り込まなかった。アポトーシス細胞のブレブからのHAとCD44の排除は、表層細胞骨格の再編成と、CD44をアクチン細胞骨格に結合させるERMタンパク質に依存した。これらの結果は、グリコカリックスが"eat me"シグナルを遮蔽すること、また膜ブレブ形成によってグリコカリックスを係留するタンパク質の局在が変化し、グリコカリックスが剥離したブレブを介して、食細胞がアポトーシス細胞を認識できるようになることを示している。

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