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オキシトシンによる母乳の脂肪分強化
Fattening mother’s milk with oxytocin

SCIENCE SIGNALING
23 Jun 2026 Vol 19, Issue 943
DOI: 10.1126/scisignal.aej7898
Wei Wong
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA.
Corresponding author. Email: wwong@aaas.org
E. Li, Y. Yuan, H. Sun, K. Patel, N. Zhang, S. Nagesh, J. J. Aristizabal-Henao, M. Kiebish, C. Jacobs, D. Bridges, B. Gregg, E. D. Rosen, Oxytocin signaling in adipocytes is required for normal milk fat production. Cell Metab. 38, 1141–1153.e7 (2026).
オキシトシンに誘導される授乳期乳腺の脂肪細胞の脂肪分解が、乳汁中の高い脂質含量を確保する
ホルモンであるオキシトシン(Oxtによりコードされる)は授乳中の射乳反射を引き起こす。Liらは授乳期のマウスを用い、オキシトシンが、乳腺の脂肪細胞に脂肪分解を誘導して乳汁に脂質を提供するためにも重要であること見いだした。授乳期乳腺の脂肪細胞では、オキシトシン受容体(Oxtrによりコードされる)のmRNA及びタンパク質の存在量が増加していた。脂肪細胞特異的なOxtr(OxtrΔAd)欠損を有する母動物から生まれた仔マウスは、対照の母動物の仔マウスと比べて低体重であった。OxtrΔAdの母動物の乳汁では脂質含量が少なく、乳腺の脂肪細胞からの脂肪放出も減少していたことから、これらの細胞では脂肪分解が低下していることが示唆された。mTORC1シグナル伝達とオートファジーの単一核RNAシーケンシング及びイムノブロット解析から示されたように、これらの影響は乳腺上皮細胞の代謝リプログラミングと関連していた。OxtrΔAdの母動物に高脂肪食を給餌したところ、仔マウスの体重及び乳腺上皮細胞のmTORC1シグナル伝達は正常化した。スクロースを添加して、高脂肪食と同程度までカロリーを引き上げた食餌をOxtrΔAdの母動物に給餌したとき、仔マウスの体重は回復しなかった。Oxtの交感神経ニューロン特異的欠損を有する母動物の仔でも低体重が認められたことから、交感神経(乳腺でも確認される)がオキシトシンの供給源であることが示された。さらに、脂肪トリグリセリドリパーゼ(ATGL)をコードするPnpla2の脂肪細胞特異的欠損を有する母動物の仔でも低体重が認められたことから、乳汁の脂質は脂肪細胞の脂肪分解に由来することが示された。これらの結果は、授乳期乳腺の脂肪細胞におけるオキシトシンのシグナル伝達が、乳汁に脂質を提供する脂肪分解を誘導することを示すものである。
2026年6月23日号






