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一部の脳内マクロファージが脳脊髄液流や脳血流と同調する仕組み
How some brain macrophages go with the flow

SCIENCE SIGNALING
22 Sep 2026 Vol 19, Issue 956
DOI: 10.1126/scisignal.aem4471
Wei Wong
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA.
Corresponding author. Email: wwong@aaas.org
S. Brioschi, J. A. Belk, S. E. Storck, Y. Wu, Z. Wang, Z. Feng, L. van Olst, J. L. Emery, R. Sudan, J. Wu, S. Du, M. Genua, F. La Terza, A. J. Edwards, K. M. Nguyen, J. Sanford, D. D. Lee, M. Bugatti, A. J. Federico, Y. Chen, Z. Wang, S. Penati, P. F. Rodrigues, A. U. Antonova, H. Q. Loo, I. Smirnov, S. Gilfillan, C. M. Halabi, J. Ponce, J. Yan, H. Y. Chang, G. J. Randolph, W. Vermi, M. Cella, M. Meers, R. Ostuni, D. Gate, A. T. Nguyen, C. Cruchaga, S. Hu, J. Kipnis, M. Colonna, Brain perivascular macrophages regulate endothelial cell function via a cMAF-dependent transcriptional program in mouse and human. Cell, 10.1016/j.cell.2026.07.043 (2026).
cMAFは血管恒常性に関与する脳内マクロファージサブセットの同一性とシグナル伝達を駆動する。
スカベンジャー受容体CD163を発現する境界関連マクロファージ(BAM)は血管周囲腔に局在し、脳脊髄液(CSF)流と脳血流(CBF)の調節を助ける。Brioschiらは、転写因子cMAFがCD163+ BAMの分化と維持に重要であることを明らかにした。マウスにおいてCD163+ BAMのMaf(cMAFをコードする遺伝子)を欠損させると、このマクロファージ集団が消失し、脳充血を誘発する高炭酸ガス血症と呼ばれる状態の高CO2に応答してCSF流とCBFが損なわれた。バイオインフォマティクス解析では、CD163+ BAMのmRNAレベルにおいてIGF1シグナル伝達経路の濃縮が確認され、CD163+ BAMのIgf1を欠損させると、同細胞のMafを欠損させたときにみられるCBFおよびCSF流の低下と類似した表現型を示した。Mafをコンディショナルに欠損させたマウスの血管内皮細胞ではIGF1受容体のリン酸化が減少していたことから、著者らは、CD163+ BAMがIGF1放出を介して血管内皮細胞と情報交換していると提唱した。ヒトCD163+ BAMではcMAFシグネチャ遺伝子の発現がみられ、脳血管機能障害を伴う神経変性疾患であるアルツハイマー病(AD)の患者ではCD163+ BAMにおいてMAF発現が増加していた。MAFの一塩基多型は、発現量の増加を引き起こし、ADリスクと負の相関を示したことから、ADにおいてこの機構をより詳しく調べる必要がある。これらの知見は、CD163+ BAMが脳内の血管恒常性において果たす役割を転写的に駆動する因子を明らかにするものである。
2026年9月22日号






