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Gタンパク質シグナル伝達
Gタンパク質シグナル伝達は、終わった話ではない

G Protein Signaling
G Protein Signaling Is Not a Done Deal

Editor's Choice

Sci. Signal., 29 June 2010
Vol. 3, Issue 128, p. ec191
[DOI: 10.1126/scisignal.3128ec191]

L. Bryan Ray

Science, Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

われわれは、細胞シグナル伝達を理解するための、比較的完全なパーツリストを持っているのだろうか?酵母の生存能力にとって必須の遺伝子を、シグナ ル伝達における可能性のある役割について系統的に探索すると、我々はそのリストをおそらくは持っていないことが示唆される。Cappellらは、必須遺伝 子(平均的な酵母遺伝子よりもヒト相同分子種を有する可能性が高い)に注目し、酵母細胞をテトラサイクリンで処理することによって、個々の必須遺伝子のプ ロモーターを迅速に抑制することができる菌株のライブラリーを用いた。接合ホルモンを認識するヘテロ三量体グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパ ク質)共役受容体を介する適切なシグナル伝達にとって必要な遺伝子をスクリーニングしたところ、そのような必須遺伝子が92個とフェロモンシグナル伝達経 路の予期されなかった調節性成分が複数同定された。タンパク質のユビキチン依存性分解において機能するタンパク質をコードする複数の遺伝子が同定され、著 者らは、ユビキチン結合酵素であるCdc34タンパク質が酵母のGタンパク質αサブユニットであるGpa1を直接ユビキチン化することができることを確認 した。ユビキチンリガーゼ複合体SCFCdc4およびCdc34は、Gpa1の分解を促進し、それによってGタンパク質β-γサブユニットが隔離されるを 防ぐことによって、フェロモンシグナル伝達の促進において機能すると考えられる。さらにシグナル伝達に関連付けられたのは、ホスファチジルイノシトール 4-キナーゼPik1およびStt4であった。モノリン酸化されたホスホイノシチドの生成は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼFus3の活性化に必 要であると考えられた。著者らは、実際には「多くの新たな経路構成要素が存在する」と予想する。

S. D. Cappell, R. Baker, D. Skowyra, H. G. Dohlman, Systematic analysis of essential genes reveals important regulators of G protein signaling. Mol. Cell 38, 746-757 (2010). [PubMed]

L. B. Ray, G Protein Signaling Is Not a Done Deal. Sci. Signal. 3, ec191 (2010).

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2010年6月29日号

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