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進化のシステム生物学の展望:細菌走化性からの教訓

The Promise of Evolutionary Systems Biology: Lessons from Bacterial Chemotaxis

Perspectives

Sci. Signal., 29 June 2010
Vol. 3, Issue 128, p. pe23
[DOI: 10.1126/scisignal.3128pe23]

Orkun S. Soyer*

Systems Biology Program, School of Engineering, Computing and Mathematics, University of Exeter, Exeter EX4 4QF, UK.

* Corresponding author. E-mail, o.s.soyer@exeter.ac.uk

要約:細菌走化性とその根底にあるシグナル伝達ネットワークは、行動と情報処理の分子基盤について研究する際の モデル系となる。走化性は、モデル生物である大腸菌において、表現型と遺伝子型の両方のレベルで特徴が十分にわかっているが、その環境やゲノム配列を基に して多様な細菌の走化性行動を予測することは現段階ではできない。さらに、最小限の系から現在の走化性ネットワークに至った進化の軌跡についても納得のい く説明はまだない。配列決定されたすべての細菌ゲノムの解析によって、走化性ネットワークの予測が可能になり、多大な構造多様性が明らかになる。さらに、 現在の複雑な走化性ネットワークと、数種のタンパク質から成るより単純な祖先系の間の「ミッシングリンク」となる未知のタンパク質群も解明される。実験的 研究およびモデリング研究によってこれらの発見をさらに評価することによって、走化性シグナル伝達ネットワークにおける進化の設計原理を浮き彫りにするこ とができるであろう。

O. S. Soyer, The Promise of Evolutionary Systems Biology: Lessons from Bacterial Chemotaxis. Sci. Signal. 3, pe23 (2010).

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