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原核生物の複雑なシグナル伝達系の起源と多様化

Origins and Diversification of a Complex Signal Transduction System in Prokaryotes

Research Article

Sci. Signal., 29 June 2010
Vol. 3, Issue 128, p. ra50
[DOI: 10.1126/scisignal.2000724]

Kristin Wuichet1,2 and Igor B. Zhulin1,2*

1 BioEnergy Science Center and Computer Science and Mathematics Division, Oak Ridge National Laboratory, Oak Ridge, TN 37831, USA.
2 Department of Microbiology, University of Tennessee, Knoxville, TN 37996, USA.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: ijouline@utk.edu

要約:細菌の走化性を制御する分子機構は、原核生物の他のどのシグナル伝達系よりも相当に複雑であり、その起源 と生物種間の多様性についてはわかっていない。われわれは、この複数のタンパク質によって構成される「走化性系」がほとんどの原核生物種に存在し、原核生 物の転写を調節するより単純な二成分制御系から進化したものであることを見出した。われわれは、ゲノム解析によって、シグナル伝達系が二成分系と走化性系 の間を仲介することを発見した。また、進化ゲノミクスによって、走化性系の中心成分と補助成分が明らかになった。さらに、その進化の歴史を追いながら分類 体系を整備し、走化性系が12通り以上の異なるクラスに分類されることを明らかにした。これによって、将来的には、まだ研究されていない種の走化性行動の 予測モデルの作成が可能になる。

K. Wuichet, I. B. Zhulin, Origins and Diversification of a Complex Signal Transduction System in Prokaryotes. Sci. Signal. 3, ra50 (2010).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

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