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免疫学
炎症に対するオートファジー

Immunology
Autophagy for Inflammation

Editor's Choice

Sci. Signal., 14 September 2010
Vol. 3, Issue 139, p. ec277
[DOI: 10.1126/scisignal.3139ec277]

Nancy R. Gough

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

オートファジーは、飢餓状態の期間中に細胞消化を介して栄養を供給するだけでなく、感染に対する細胞応答にも関与する。Changらは、オートファ ジーが損なわれると、炎症性サイトカインであるインターフェロンg(IFN-γ)に対する細胞応答も損なわれることを示している。オートファゴソーム形成 に不可欠な2つのタンパク質(Atg5とAtg7)のどちらかを欠損させたマウス胚性線維芽細胞(MEF)の解析によって、IFN-γが仲介するさまざま な応答(レポーター遺伝子の発現、亜硝酸の産生、サイトカインの産生)が、野生型細胞の応答に比べて低下していることが示された。Atg5欠損細胞のシグ ナル伝達経路を詳しく調べたところ、IFN受容体とJak2キナーゼの間の相互作用は影響をうけないが、Jak2およびJak2の下流標的である Jak1、Pyk2、STAT1などのリン酸化とSTAT1依存性遺伝子の発現が低下することがわかった。Atg5欠損MEFは、野生型MEFに比べて、 ミトコンドリアの量が多く、より酸化的な状態にある。オートファジー能力を有する細胞とオートファジー機能が障害された細胞にみられるIFN-γの応答性 の違いの原因としての活性酸素種(ROS)の役割と一致して、野生型MEFを抗酸化薬で処理すると、IFN-γが仲介するSTAT1のリン酸化が亢進し、 過酸化水素を添加するとこの応答は抑制された。ホスファターゼであるSHP2はROSによって活性化され、Atg5欠損MEFのSHP2をノックダウンす ると、IFN-γが仲介するSTAT1のリン酸化が回復した。このように、著者らは、オートファジーがミトコンドリアによるROS産生を制限し、それに よってホスファターゼの活性が制限され、IFN-γシグナル伝達の進行が可能になると提唱している。

Y.-P. Chang, C.-C. Tsai, W.-C. Huang, C.-Y. Wang, C.-L. Chen, Y.-S. Lin, J.-I. Kai, C.-Y. Hsieh, Y.-L. Cheng, P.-C. Choi, S.-H. Chen, S.-P. Chang, H.-S. Liu, C.-F. Lin, Autophagy facilitates IFN-γ-induced Jak2-STAT1 activation and cellular inflammation. J. Biol. Chem. 285, 28715-28722 (2010). [Abstract] [Full Text]

N. R. Gough, Autophagy for Inflammation. Sci. Signal. 3, ec277 (2010).

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2010年9月14日号

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