• ホーム
  • アポトーシス 死を導くチャネリング

アポトーシス
死を導くチャネリング

Apoptosis
Channeling Death

Editor's Choice

Sci. Signal., 19 October 2010
Vol. 3, Issue 144, p. ec318
[DOI: 10.1126/scisignal.3144ec318]

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

アポトーシス細胞は、ヌクレオチドのATPとUTPを放出して食細胞を誘引し、この食細胞がアポトーシス細胞を排除する。Chekeniらは、コネ キシン(ギャップ結合を形成)とパネキシン(細胞膜チャネルを形成)を阻害するカルベノキソロン(CBX)と、パネキシンに対してより特異的であると考え られているプロベネシドが、カスパーゼ阻害薬のzVAD(アポトーシス細胞からのATP放出を遮断)と同程度にアポトーシスJurkat細胞からのATP 放出を、減少させることを見出した。パネキシン1(PANX1)に対する低分子干渉RNA(siRNA)は、アポトーシスJurkat細胞からのATPと UTPの放出を減少させたが、アポトーシスを妨ぐことはなかった。PANX1 siRNAをトランスフェクトしたアポトーシス細胞の培養上清は、in vitroでの細胞遊走アッセイの場合、およびマウスの皮下空気嚢内に注入された場合に、より少ない単球を動員した。対照的に、PANX1を安定して過剰 発現するJurkat細胞(アポトーシス誘導後)は、ATPとUTPをより多く放出し、これらの細胞の培養上清はin vitroでより多くの単球を動員した。アポトーシス細胞はYO-PRO-1などの色素を取り込むが、著者らが示した過程は、Jurkat細胞で PANX1を必要とし、胸腺細胞でCBXによって遮断された。PANX1電流は、進行中のアポトーシスの形態学的徴候を示す細胞でのみ検出され、CBX処 理によって減少した。免疫沈降されたPANX1は、in vitroでカスパーゼ3とカスパーゼ7によって2つの異なる部位(著者は部位A、Bと呼ぶ)で切断された。部位Bで切断されないPANX1変異体を発現 する細胞は、野生型PANX1または部位Aで切断されない変異体を発現する細胞に比べて、YO-PRO-1の取り込み量が少なかった。さらに、PANX1 の部位B変異体を発現するアポトーシス細胞は、PANX1電流がより小さく、ATP放出量も少なく、TO-PRO-3取り込み量も少なかった。対照的に、 部位Bでの切断を擬態したPANX1変異体を発現する細胞は、YO-PRO-1取り込み量がより多く、PANX1電流もより大きかった。このように、 PANX1はアポトーシス中にカスパーゼによって切断されることによって、ATPとUTPを放出して食細胞を引きつけるためのチャネルを活性化する。

F. B. Chekeni, M. R. Elliott, J. K. Sandilos, S. F. Walk, J. M. Kinchen, E. R. Lazarowski, A. J. Armstrong, S. Penuela, D. W. Laird, G. S. Salvesen, B. E. Isakson, D. A. Bayliss, K. S. Ravichandran, Pannexin 1 channels mediate 'find-me' signal release and membrane permeability during apoptosis. Nature 467, 863-867 (2010). [PubMed]

W. Wong, Channeling Death. Sci. Signal. 3, ec318 (2010).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2010年10月19日号

Editor's Choice

アポトーシス
死を導くチャネリング

Research Article

単一細胞解析によって、酵母における共通成分を有する2つのMAPK経路の間のシグナル伝達特異性は断絶によって維持されることがわかる

Perspectives

核の解放:血小板の離れ技

最新のEditor's Choice記事

2024年2月27日号

ccRCCでTBK1を遮断する方法

2024年2月20日号

密猟者がT細胞内で森の番人に転身した

2024年2月13日号

RNAが厄介な状況を生み出す

2024年2月6日号

細胞外WNT伝達分子

2024年1月30日号