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単一細胞解析によって、酵母における共通成分を有する2つのMAPK経路の間のシグナル伝達特異性は断絶によって維持されることがわかる

Single-Cell Analysis Reveals That Insulation Maintains Signaling Specificity Between Two Yeast MAPK Pathways with Common Components

Research Article

Sci. Signal., 19 October 2010
Vol. 3, Issue 144, p. ra75
[DOI: 10.1126/scisignal.2001275]

Jesse C. Patterson, Evguenia S. Klimenko, and Jeremy Thorner*

Division of Biochemistry and Molecular Biology, Department of Molecular and Cell Biology, University of California, Berkeley, CA 94720-3202, USA.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: jthorner@berkeley.edu

要約:真核細胞は、複数のマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)カスケードを用いて、外部刺激に対する適切な応答を惹起する。出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeに おいて、MAPK Fus3はフェロモン結合性のヘテロ三量体グアノシン三リン酸結合タンパク質(Gタンパク質)共役受容体によって活性化されて接合を促進する。一方、 MAPK Hog1は高浸透圧ストレスによって活性化され、高浸透圧グリセロール(HOG)応答を惹起する。これらのMAPK経路はいくつかの上流成分を共有する が、フェロモンと浸透圧調節物質のどちらかだけに曝露すれば、適切な応答のみが誘発される。本研究では、蛍光局在化特異的なレポーターと転写特異的レポー ターを用いて、それぞれ分および時間のタイムスケールで個々の細胞におけるこれらの経路の活性化について評価した。フェロモンと浸透圧調節物質で共刺激し た野生型細胞では、広範囲の刺激物質濃度および時間的レジームにわたって、これら2つのMAPK経路の二重活性化が生じた。このように、シグナル伝達の特 異性は「相互抑制」機構ではなく、「断絶」機構によって達成される。さらに、HOG経路の適切な断絶にとって、Hog1活性化が生じるべき重要な時期が存 在することも明らかになった。

J. C. Patterson, E. S. Klimenko, J. Thorner, Single-Cell Analysis Reveals That Insulation Maintains Signaling Specificity Between Two Yeast MAPK Pathways with Common Components. Sci. Signal. 3, ra75 (2010).

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2010年10月19日号

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