神経科学
先天的な痒み?

Neuroscience
An Innate Itch?

Editor's Choice

Sci. Signal., 30 November 2010
Vol. 3, Issue 150, p. ec362
[DOI: 10.1126/scisignal.3150ec362]

Elizabeth M. Adler

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

 

Toll様受容体(TLR)は、自然免疫応答の媒介における役割で最も有名であるが、神経系においても確認されている。Liuらは、痛覚過敏に自然免疫応答が関与していることに注目し、TLR7受容体欠損マウス(Tlγ7-/-マウス)において痛覚感受性が変化するかどうかについて検討した。実際に、Tlγ7-/-マウスの痛覚感受性は正常であったが、ヒスタミン放出に依存しない機構を介して掻痒を誘発する薬剤に対する擦過行動が野生型マウスに比べて少なかった。また、イミキモドimiquimodなどの抗ウイルス活性を有するTLR7リガンドの皮内注射は擦過行動を誘発した(Tlγ7-/-マウスよりも野生型の方が効果的)。著者らは、免疫組織化学法、in situハ イブリダイゼーションおよび単一細胞RT-PCRを組み合わせて用いることによって、小型の後根神経節(DRG)ニューロンにおいてTLR7がカプサイシ ン感受性TRPV1チャンネル、ガストリン関連ペプチド(GRP)およびGタンパク質共役受容体MrgprA3(いずれも掻痒シグナル伝達に関与)と共発 現していることを確認した。実際に、レジニフェラトキシンresiniferatoxin(極めて強力なTRPV1アゴニスト)を用いてTRPV1を発現 する感覚ニューロンを除去すると、イミキモドによる掻痒行動はほぼなくなったが、TRPV1欠損マウスのイミキモド感受性に変化はなかった。パッチクラン プ法の結果、イミキモドは野生型のカプサイシン感受性DRGニューロンにおいて内向き電流を惹起したが、TLR7欠損マウスでは惹起しなかった。TLR7 は掻痒を媒介し、鎮痒治療の標的となると考えられる。

T. Liu, Z. Z. Xu, C. K. Park, T. Berta, R. R. Ji, Toll-like receptor 7 mediates pruritus. Nat. Neurosci. 13, 1460?1462 (2010). [PubMed]

E. M. Adler, An Innate Itch? Sci. Signal. 3, ec362 (2010).

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2010年11月30日号

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