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生理学
Notchを標的にしてインスリン抵抗性を予防する

Physiology
Targeting Notch to Prevent Insulin Resistance

Editor's Choice

Sci. Signal., 23 August 2011
Vol. 4, Issue 187, p. ec230
[DOI: 10.1126/scisignal.4187ec230]

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

 

インスリン抵抗性と2型糖尿病の関連性を考えると、インスリン抵抗性が発生する機構をより理解することによって、関連する治療薬の開発に役立つ可能性がある。フォークヘッドボックス含有(FoxO)転写因子ファミリーのメンバーは、肝臓でグルコースを生成する酵素の産生を刺激することによって、インスリンの作用を媒介する。細胞運命の決定に関与するNotchファミリーのタンパク質は、転写因子Rbp-Jκを活性化してNotch標的遺伝子を発現させる細胞表面受容体である。Pajvaniらは、細胞分化の際にRbp-JκとFoxO1が相互作用することに注目し、Foxo1Notch1両遺伝子のハプロ不全を有するマウス由来の肝細胞における代謝機能について検討した。さまざまな食餌を与えたこれらのマウスでは、野生型(WT)マウスとFoxo1+/-マウスに比べて血清グルコース濃度とインスリン濃度が低くかった。このことは、これらのマウスのインスリン感受性が高いことを示唆する。肝臓のRbpj(Rbp-Jκをコードする)を欠損するマウスでは、高脂肪食を与えた場合に、対照マウスと比べて、血清インスリン濃度が低く、耐糖能が高かった。恒常的活性型Foxo1(Foxo1-ADA)を発現するマウスの肝細胞において恒常的活性型Notch1(N1-IC)を発現させると、Foxo1-ADAのみを発現する細胞と比べて、グルコース-6-ホスファターゼ(G6pcによってコードされる)の産生が増大し、これによって培養液中へのグルコースの放出が亢進した。クロマチン免疫沈降実験によって、Rbp-JκG6pcのプロモーターに結合することが示された。肝臓でN1-ICを発現するマウスでは、対照マウスと比べて、血清グルコース濃度とインスリン濃度が上昇していた。最後に、Notch1の活性化を妨げるg-セクレターゼ阻害薬をマウスに投与すると、対照マウスと比べて、G6pcの発現が低下し、血清グルコース濃度が低下し、耐糖能が向上した。これらのデータを総合すると、Notchが代謝において機能し、Notchの阻害が糖尿病の治療に有効である可能性が示唆される。

U. B. Pajvani, C. J. Shawber, V. T. Samuel, A. L. Birkenfeld, G. I. Shulman, J. Kitajewski, D. Accili, Inhibition of Notch signaling ameliorates insulin resistance in a FoxO1-dependent manner. Nat. Med.17, 961-967 (2011). [PubMed]

J. F. Foley, Targeting Notch to Prevent Insulin Resistance. Sci. Signal. 4, ec230 (2011).

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2011年8月23日号

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