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腫瘍進行遺伝子座2(tumor progression locus 2; Tpl2)は、シグナル誘導性の細胞質カルシウム濃度の上昇と細胞遊走を媒介する

Tumor Progression Locus 2 Mediates Signal-Induced Increases in Cytoplasmic Calcium and Cell Migration

Research Article

Sci. Signal., 23 August 2011
Vol. 4, Issue 187, p. ra55
[DOI: 10.1126/scisignal.2002006]

Maria Hatziapostolou, Georgios Koukos, Christos Polytarchou, Filippos Kottakis, Oksana Serebrennikova, Athan Kuliopulos, and Philip N. Tsichlis*

Molecular Oncology Research Institute, Tufts Medical Center, Boston, MA 02111, USA.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: ptsichlis@tuftsmedicalcenter.org

要約:マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼキナーゼ(MAPKKKまたはMAP3K)である腫瘍進行遺伝子座2(tumor progression locus 2; Tpl2)は、トロンビンによって活性化されるGタンパク質共役受容体(GPCR)であるプロテアーゼ活性化受容体-1(PAR1)によって開始されるシグナルの伝達に必要である。PAR1は、アクチン細胞骨格の再構築と細胞遊走を促進する。今回われわれは、Tpl2がGαi2によって伝達されるGPCRシグナルを介して活性化されることを示す。活性化されたTpl2は、ホスホリパーゼC-β3(PLCβ3)のリン酸化と活性化を促進した。その結果として、Tpl2は、トロンビン依存性のイノシトール1,4,5-トリスリン酸(IP3)の産生、IP3を介する細胞質カルシウムイオン(Ca2+)のシグナル、ならびにプロテインキナーゼC(PKC)ファミリーの古典的メンバー(classical PKC; cPKC)と新規メンバー(novel PKC; nPKC)の活性化に必要であった。PKCを介するフィードバックループは、Tpl2に応答する細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)の活性化を促進し、ERKシグナル伝達経路とCa2+シグナル伝達経路の協調的調節に寄与した。薬理学的研究と遺伝学的研究によって、Tpl2による細胞遊走の刺激は、これらの経路の両方に依存することが明らかになった。Tpl2はまた、Gαiに共役するスフィンゴシン1-リン酸応答性GPCR、Wnt5a、ならびにToll-IL-1R(TIR)ドメインファミリーのメンバーであるインターロイキン-1β(IL-1β)受容体からのCa2+シグナルを昂進し、細胞遊走を促進した。われわれのデータは、GPCRを介するCa2+シグナル伝達および細胞遊走におけるTpl2の役割に関する新たな洞察を提供するものである。

M. Hatziapostolou, G. Koukos, C. Polytarchou, F. Kottakis, O. Serebrennikova, A. Kuliopulos, P. N. Tsichlis, Tumor Progression Locus 2 Mediates Signal-Induced Increases in Cytoplasmic Calcium and Cell Migration. Sci. Signal. 4, ra55 (2011).

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