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Ets-1のアセチル化がmiR-192発現のためのクロマチンリモデリングの鍵を握る

Acetylation of Ets-1 Is the Key to Chromatin Remodeling for miR-192 Expression

Perspectives

Sci. Signal., 4 June 2013
Vol. 6, Issue 278, p. pe21
[DOI: 10.1126/scisignal.2004299]

Zheng Dong1,2*

1 Department of Nephrology, The Second Xiangya Hospital, Central South University, Changsha, Hunan 410011, China.
2 Department of Cellular Biology and Anatomy, Medical College of Georgia, Georgia Regents University and Charlie Norwood VA Medical Center, Augusta, GA 30912, USA.

* Corresponding author. E-mail: zdong@gru.edu

要約:マイクロRNA(miRNA)は、遺伝子発現を調節することによって、生理的過程と病的過程に極めて重要な役割を果たす。しかし、miRNAの調節についてはあまり明らかになっていない。miR-192は、糖尿病性腎症における腎線維症と腎肥大の重要な調節因子である。Natarajanらは、miR-192遺伝子の上流領域にEts-1およびSmad3結合部位があることを示した。コントロール細胞では、すべてのEts-1部位が占有され、クロマチン構造が固定されて、miR-192発現は低く保たれた。トランスフォーミング増殖因子–β(TGF-β)の刺激を受けると、Smad3とAktが活性化され、Aktはさらにp300を活性化させてEts-1の部分的なアセチル化と解離を誘導し、Smad3はmiR-192遺伝子に動員され、一過性miR-192発現が誘導された。長期のTGF-β処理においては、p300がヒストンとEts-1をアセチル化することにより、Ets-1が完全に解離し、クロマチンが開放されてmiR-192発現が持続した。このように、転写因子とクロマチンリモデリングは、動的かつ協調的に、マイクロRNA遺伝子発現を制御する。

Z. Dong, Acetylation of Ets-1 Is the Key to Chromatin Remodeling for miR-192 Expression. Sci. Signal. 6, pe21 (2013).

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