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シナプス可塑性
概日性の学習

Synaptic Plasticity
Circadian Learning

Editor's Choice

Sci. Signal., 4 June 2013
Vol. 6, Issue 278, p. ec127
[DOI: 10.1126/scisignal.2004392]

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

C. Liston, J. M. Cichon, F. Jeanneteau, Z. Jia, M. V. Chao, W.-B. Gan, Circadian glucocorticoid oscillations promote learning-dependent synapse formation and maintenance. Nat. Neurosci. 16, 698–705 (2013). [PubMed]

学習と記憶は、シナプスの再編を伴い、慢性ストレスにより損なわれる。しかし、ストレスホルモンであるグルココルチコイドの急性分泌は、樹状突起棘(スパイン)の形成を促進することで、マウスの学習を改善する。感覚運動錘体ニューロンで緑色蛍光タンパク質(GFP)を過剰発現しているマウスにおいて、回転棒(rotarod)上で運動協調を訓練させた後、Listonらは、in vivoイメージングを用い、グルココルチコイド分泌の正常な概日周期性の変動が、スパインの形成および維持を異なる機構で促進することを示した。グルココルチコイドの周期性変動は、概日時計と同調しており、活動期に1つのピーク、非活動期に1つのトラフを示した。グルココルチコイドのピーク時にrotarodで訓練されたマウスは、トラフの期間に訓練されたマウスと比較して、スパインの形成が増加していた。訓練直後にコルチコステロンを注入すると、両群でスパイン形成が増加した。これに対し、使用用量では血液脳関門を通過しない合成グルココルチコイドであるデキサメタゾンにより内因性グルココルチコイドの分泌を抑制すると、デキサメタゾン不在下ではグルココルチコイドのピークが生じたであろう期間に訓練された群で新しいスパインの形成が阻害された。グルココルチコイドのトラフが生じた期間にコルチコステロンを注入すると、新しく形成されたスパインが不安定化し、高用量グルココルチコイドを反復投与すると既存のスパインの消失が亢進され、いずれの処理でもrotarodの成績が損なわれた。コルチコステロンを大脳皮質に直接投与すると、急速なスパイン形成が誘導され、これは、転写阻害剤アクチノマイシンDの影響を受けなかったが、2型コルチコステロイド受容体[グルココルチコイド受容体(glucocorticoid receptor:GR)]拮抗薬ミフェプリストンにより阻害されことから、GRによる非転写的制御が示唆された。非処理マウスおよびアクチノマイシンDに曝露したマウスの大脳皮質において、スパイン形成は、アクチン安定化キナーゼLIMK1およびその基質コフィリンのリン酸化の増加と相関した。初代神経細胞培養におけるコルチコステロンにより誘導されるLIMK1またはコフィリンのリン酸化は、GRがノックダウンされると消失した。さらに、コルチコステロン誘導性のスパイン形成は、LIMK1–/–マウスで抑制された。対照的に、コルチコステロン投与後のスパイン消失は、遅延した累積的な過程であり、アクチノマイシンDによって阻害されたが、ミフェプリストンの影響は受けなかった。1型コルチコステロイド受容体[鉱質コルチコイド受容体(mineralocorticoid receptor:MR)]作動薬アルドステロンの直接投与は、スパイン剪定の速度を増加させ、これは、アクチノマイシンDと共に処理することで阻害された。基底および学習誘導性のスパイン剪定速度はいずれも、MR拮抗薬スピロノラクトンの投与により低下した。合わせると、この結果から、学習により誘導されるスパイン形成は、グルココルチコイドがピークになる期間中に、GRおよびキナーゼ依存性の機構により媒介されるのに対し、スパインの維持および記憶保持は、グルココルチコイドの存在量が低い期間を必要とし、別のMRおよび転写依存性の機構によって媒介される。

L. K. Ferrarelli, Circadian Learning. Sci. Signal. 6, ec127 (2013).

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2013年6月4日号

Editor's Choice

シナプス可塑性
概日性の学習

Research Article

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