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IGF-1の道理:インスリン様成長因子受容体の活性化はT型カルシウムチャネル活性の亢進によって痛みを増大させる

The Tao of IGF-1: Insulin-Like Growth Factor Receptor Activation Increases Pain by Enhancing T-Type Calcium Channel Activity

Perspectives

Sci. Signal., 7 October 2014
Vol. 7, Issue 346, p. pe23
DOI: 10.1126/scisignal.2005826

Patrick L. Stemkowski and Gerald W. Zamponi*

Department of Physiology and Pharmacology, Hotchkiss Brain Institute, Cumming School of Medicine, University of Calgary, Calgary, Alberta T2N 4N1, Canada.

*Corresponding author. E-mail: zamponi@ucalgary.ca

要約 T型カルシウムチャネルは主要な求心路の疼痛シグナル伝達において重要な役割を果たす。実際に、後根神経節(DRG)ニューロンのT型カルシウムチャネルの阻害または枯渇は鎮痛を仲介する。逆に、神経損傷または末梢性炎症はDRGニューロンのT型カルシウムチャネル活性を誘発することが示されており、そこからさらに、慢性疼痛状態の発症とも関連づけられている。このようなT型チャネルの亢進の根底にある機構はまだ完全には理解されておらず、細胞膜におけるチャネル安定性の変化やチャネル機能の変化が関与していることも考えられる。Science Signalingの今月号でZhangらは、求心性ニューロンにおけるT型カルシウムチャネル活性を強力に調節する細胞シグナル伝達経路を同定し、この過程を痛覚過敏症と関連づけている。具体的には、DRGニューロンのインスリン様成長因子1受容体がプロテインキナーゼCα(PKCα)に依存するT型カルシウム電流の亢進を調節することと、げっ歯類でこの経路を妨げると機械的痛覚過敏と熱痛覚過敏の両方が緩和されることを示している。この過程を標的にすることによって、疼痛治療学の発展に新たな道が開かれる。

P. L. Stemkowski and G. W. Zamponi, The Tao of IGF-1: Insulin-Like Growth Factor Receptor Activation Increases Pain by Enhancing T-Type Calcium Channel Activity. Sci. Signal. 7, pe23 (2014).

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