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膵β細胞におけるERストレス:適応と破綻の間の細く赤い境界線
ER Stress in Pancreatic β Cells: The Thin Red Line Between Adaptation and Failure
Sci. Signal., 23 February 2010
Vol. 3, Issue 110, p. pe7
[DOI: 10.1126/scisignal.3110pe7]
Decio L. Eizirik1* and Miriam Cnop1,2
1 Laboratory of Experimental Medicine, Universite Libre de Bruxelles (ULB), 1070 Brussels, Belgium.
2 Division of Endocrinology, Erasmus Hospital, 1070 Brussels, Belgium.
* Corresponding author. E-mail, deizirik@ulb.ac.be
要約:膵β細胞などの分泌細胞は、急性刺激や慢性刺激の際に、タンパク質合成を数倍に増大させるという課題に直 面する。このことは、プロインスリンの合成とフォールディングが起こる細胞小器官である小胞体に負担をかける。このため、β細胞はさまざまな適応機構を用 いて、小胞体の機能的能力を支配的な要求に適応させる。このような抑制と均衡の機構は、小胞体ストレス応答(UPR)と総称される。UPRシグナル伝達は 最終的にどのようにして調節されるのかや、生理的反応と病的反応の境界線を引くものは何なのかはまだわかっていない。新たな発見によって、急性および慢性 の代謝変動と小胞体ストレス誘導性化学物質が、UPR伝達因子、足場タンパク質、ホスファターゼの間の複合体形成に及ぼす多岐にわたる作用が示されてい る。これらの知見から、さまざまなシグナルによって異なるUPRの結果が生じる仕組みを初めて垣間見ることができる。
D. L. Eizirik, M. Cnop, ER Stress in Pancreatic β Cells: The Thin Red Line Between Adaptation and Failure. Sci. Signal. 3, pe7 (2010).