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神経細胞死のメディエーターをポリコーム群というコームで取り除く

Eradicating the Mediators of Neuronal Death with a Fine-Tooth Comb

Perspectives

Sci. Signal., 8 June 2010
Vol. 3, Issue 125, p. pe20
[DOI: 10.1126/scisignal.3125pe20]

R. Suzanne Zukin*

Dominick P. Purpura Department of Neuroscience, Rose F. Kennedy Center, Room 610, Albert Einstein College of Medicine, 1300 Morris Park Avenue, Bronx, NY 10461, USA.

* Corresponding author. E-mail, suzanne.zukin@einstein.yu.edu

要約:虚血耐性とは、進化的に保存された脳の可塑性の一形態であり、短時間の脳虚血(虚血プレコンディショニン グと呼ばれる)によってその後の虚血負荷に対する一時的な耐性が脳に与えられる。一方ポリコーム群タンパク質は、胚発生段階で豊富に、かつ広範に分布する 遺伝子のサイレンシング因子であり、エピジェネティックな細胞記憶、多能性および幹細胞の自己複製に不可欠である。今回、成熟神経細胞において虚血プレコ ンディショニングがポリコームタンパク質を活性化するという発見によって、虚血耐性の基礎にある分子機構に新たな見解が示された。ポリコームタンパク質は エピジェネティックな遺伝子サイレンシングを介して作用して、神経細胞死のメディエーターを除去し、細胞の停止を促し、成熟神経細胞が虚血性卒中でも生き 残れるようにしている。

R. S. Zukin, Eradicating the Mediators of Neuronal Death with a Fine-Tooth Comb. Sci. Signal. 3, pe20 (2010).

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