• ホーム
  • プリン作動性シグナル伝達:好中球活性化の基本機構

プリン作動性シグナル伝達:好中球活性化の基本機構

Purinergic Signaling: A Fundamental Mechanism in Neutrophil Activation

Research Article

Sci. Signal., 8 June 2010
Vol. 3, Issue 125, p. ra45
[DOI: 10.1126/scisignal.2000549]

Yu Chen1, Yongli Yao1, Yuka Sumi1, Andrew Li1, Uyen Kim To1, Abdallah Elkhal1, Yoshiaki Inoue1, Tobias Woehrle1, Qin Zhang1, Carl Hauser1, and Wolfgang G. Junger1,2*

1 Department of Surgery, Beth Israel Deaconess Medical Center, Harvard Medical School, Boston, MA 02215, USA.
2 Ludwig Boltzmann Institute for Experimental Traumatology, Vienna A-1200, Austria.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: wjunger@bidmc.harvard.edu

概要:好中球の効率的な活性化は、効果的な免疫応答にとって重要な要件である。われわれは好中球が、Fcγ受容体、インターロイキン-8受容体、補体C5a受容体、およびロイコトリエンB4受 容体を活性化させる細菌性ホルミルペプチドや炎症性メディエーターなどの外因性刺激に応答して、細胞内のアデノシン三リン酸(ATP)を放出することを見 出した。ホルミルペプチド受容体(FPR)が刺激されると、パネキシン-1(panx1)ヘミチャネル経由でATPが放出された。また、FPRは、細胞表 面でP2Y2ヌクレオチド受容体と共局在して、好中球活性化を亢進させるプリン作動性シグナル伝達系を形成した。panx1ヘミチャネルまたはP2Y2受 容体の阻害またはサイレンシングによってこのプリン作動性シグナル伝達系を途絶させると、好中球の活性化が遮断され、細菌感染に対する宿主の自然免疫応答 が損なわれた。このように、プリン作動性シグナル伝達は、好中球活性化と免疫防御にとって必要な基本機構である。

Y. Chen, Y. Yao, Y. Sumi, A. Li, U. K. To, A. Elkhal, Y. Inoue, T. Woehrle, Q. Zhang, C. Hauser, W. G. Junger, Purinergic Signaling: A Fundamental Mechanism in Neutrophil Activation. Sci. Signal. 3, ra45 (2010).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2010年6月8日号

Editor's Choice

機械的シグナル伝達
シグナルを伝えざるを得ない

Research Article

プリン作動性シグナル伝達:好中球活性化の基本機構

β-アレスチンによってバイアスされるアンギオテンシン受容体の機械的ストレス誘導性の活性化

Perspectives

神経細胞死のメディエーターをポリコーム群というコームで取り除く

最新のResearch Article記事

2024年2月27日号

ALOX5はCD4+ T細胞のパイロトーシスと関節リウマチにおける組織炎症を駆動する

2024年2月20日号

デザイナー高密度リポタンパク質粒子が内皮バリア機能を強化し炎症を抑制する

T細胞におけるgp130シグナル伝達の活性化がTH17介在性の多臓器自己免疫を引き起こす

2024年2月13日号

GPCRキナーゼはその細胞内局在に応じて偏向性のCXCR3下流シグナル伝達を差次的に調節する

リラキシン-3受容体のGαi/oバイアスステープルペプチドアゴニストによるバイアスアゴニズムの機構