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機械的シグナル伝達
シグナルを伝えざるを得ない

Mechanotransduction
Forced to Signal

Editor's Choice

Sci. Signal., 8 June 2010
Vol. 3, Issue 125, p. ec167
[DOI: 10.1126/scisignal.3125ec167]

L. Bryan Ray

Science, Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

細胞は、細胞表面に存在する特化した接着分子を介して、基質や他の細胞との接触を感知する。密に結合している上皮細胞は、カドヘリンタンパク質を介 して隣接する細胞とつながる。カドヘリンタンパク質は接着結合で他の多くのタンパク質と相互作用する。米村Yonemuraらは、このような結合タンパク 質の1つであるα-カテニンが、機械的センサーとして機能し、ミオシンIIと線維状アクチンによって生じる張力を、細胞接着点で生化学的シグナルに変換す るようであることを示している。タンパク質のビンキュリンは、アクチン細胞骨格内の張力を必要とするような様式で接着結合に会合する。著者らは、さまざま なマウスおよびヒト上皮細胞株においてミオシンIIの活性を遮断すると、ビンキュリンの接着結合への会合がなくなることを確認した。α-カテニンの種々の 断片を発現する細胞を用いた研究では、α-カテニンのある領域が通常はビンキュリンの結合を遮断するが、α-カテニンがC末端を介してアクチン線維に結合 できる場合には、その阻害作用が解除されることが示唆された。したがって、著者らは、張力によって、α-カテニン分子がビンキュリン結合部位を露出させる ように伸びるのではないかと提案している。米村らはさらに、α-カテニンのこの「開いた」コンホメーションを特異的に認識すると考えられる抗体を同定し た。細胞が収縮環を形成して傷を閉じる創傷治癒モデルにおいて、この抗体は、張力が高くビンキュリンが動員された接着結合に特異的に結合した。著者らは、 この機構によって、上皮細胞シートの細胞側面膜の特定の領域に接着結合が特別に局在する理由が説明できるのではないか、そしてこの機構は、隣接する細胞が 互いに及ぼす力のバランスを取る働きをしているのではないかと提案している。Lecuitが解説記事を書いている。

L. B. Ray, Forced to Signal. Sci. Signal. 3, ec167 (2010).

S. Yonemura, Y. Wada, T. Watanabe, A. Nagafuchi, M. Shibata, α-Catenin as a tension transducer that induces adherens junction development. Nat. Cell Biol. 12, 533-542 (2010). [PubMed]

T. Lecuit, α-Catenin mechanosensing for adherens junctions. Nat. Cell Biol. 12, 522-524 (2010). [PubMed]

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