• ホーム
  • β-アレスチンによってバイアスされるアンギオテンシン受容体の機械的ストレス誘導性の活性化

β-アレスチンによってバイアスされるアンギオテンシン受容体の機械的ストレス誘導性の活性化

β-Arrestin-Biased Agonism of the Angiotensin Receptor Induced by Mechanical Stress

Research Article

Sci. Signal., 8 June 2010
Vol. 3, Issue 125, p. ra46
[DOI: 10.1126/scisignal.2000769]

Kriti Rakesh1*, ByungSu Yoo1*†, Il-Man Kim1, Natasha Salazar1, Ki-Seok Kim1, and Howard A. Rockman1,2,3‡

1 Department of Medicine, Duke University Medical Center, DUMC 3104, 226 CARL Building, Durham, NC 27710, USA.
2 Department of Cell Biology, Duke University Medical Center, Durham, NC 27710, USA.
3 Department of Molecular Genetics and Microbiology, Duke University Medical Center, Durham, NC 27710, USA.

* These authors contributed equally to this work.

† Present address: Department of Cardiology, Wonju College of Medicine, Yonsei University, 162 Ilsandong, Wonju 220-701, South Korea.

‡ To whom correspondence should be addressed. E-mail: h.rockman@duke.edu

要約:β-アレスチンは、ヘテロ三量体グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)共役受容体 (GPCR)シグナル伝達の終結因子としてもともと特徴付けられたが、重要なシグナル伝達因子としても働く。GPCRシグナル伝達において浮上している概 念は、β-アレスチンによってバイアスされた受容体の活性化(β-arrestin-biased agonism)である。この際は、リガンドによって活性化されたGPCRの特定のコンホメーション状態が、Gタンパク質ではなく、β-アレスチンを介し て選択的にシグナル伝達する。今回われわれは、リガンドやGタンパク質活性化の無い状況下で、機械的伸展により、アンギオテンシンIIタイプI受容体 (AT1R)下流においてβ-アレスチンによってバイアスされたシグナル伝達が誘導されることを示す。機械的伸展は、AT1Rを介するβ-アレスチンのコ ンホメーション変化を開始させた。この変化は、β-アレスチンによってバイアスされたリガンドが、検出可能なGタンパク質活性化が無い状況で、受容体シグ ナル伝達を選択的に刺激するために誘導する変化と同様である。β-アレスチンまたはAT1Rを欠失したマウスの心臓では、細胞外シグナル制御キナーゼと Aktの活性化が弱まり、上皮増殖因子受容体のトランス活性化が障害され、筋細胞のアポトーシスが促進されたことから、機械的伸展に対する応答が誘導され なかったことが示された。これらのデータから、心臓は、β-アレスチンを介する細胞生存シグナルを活性化することによって、機械的ストレスの急激な増加に 反応することが示唆される。

K. Rakesh, B. Yoo, I.-M. Kim, N. Salazar, K.-S. Kim, H. A. Rockman, β-Arrestin-Biased Agonism of the Angiotensin Receptor Induced by Mechanical Stress. Sci. Signal. 3, ra46 (2010).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2010年6月8日号

Editors' Choice

機械的シグナル伝達
シグナルを伝えざるを得ない

Research Article

プリン作動性シグナル伝達:好中球活性化の基本機構

β-アレスチンによってバイアスされるアンギオテンシン受容体の機械的ストレス誘導性の活性化

Perspectives

神経細胞死のメディエーターをポリコーム群というコームで取り除く

最新のResearch Article記事

2025年04月22日号

がん細胞の再上皮化がオートファジーとDNA損傷を増加させる:乳がんの休眠と再発への影響

2025年04月08日号

統合失調症治療薬チオチキセンはアルギナーゼ1および連続的なエフェロサイトーシスを誘導することによってマクロファージを刺激して病原性細胞を除去する

2025年04月01日号

RIPK3はニューロンでRHIMドメイン依存性の抗ウイルス炎症転写を調整する

2025年03月25日号

細胞内RNAに結合するループス由来自己抗体はcGASに媒介される腫瘍免疫を活性化し、RNAを細胞へ送達することができる

2025年03月18日号

転移性前立腺がんにおいてキナーゼPLK1は、抗アンドロゲン剤エンザルタミドに対するヘッジホッグシグナル伝達依存性の耐性を促進する