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PKAによるL型Ca2+チャンネルCaV1.2のβ-アドレナリン作動性調節が再び興奮を呼ぶ

β-Adrenergic Regulation of the L-Type Ca2+ Channel CaV1.2 by PKA Rekindles Excitement

Perspectives

Sci. Signal., 28 September 2010
Vol. 3, Issue 141, p. pe33
[DOI: 10.1126/scisignal.3141pe33]

Johannes W. Hell*

Department of Pharmacology, University of California, Davis, CA 95615, USA.

* Corresponding author. E-mail, jwhell@ucdavis.edu

要約:われわれは驚くと、より激しく闘ったり、速く逃げたりすることができるように、心拍が 速く、かつ強くなる。この闘争・逃走反応は交感神経系のニューロンからのノルエピネフリン放出によって誘発される。ノルエピネフリンは、古典的なβ-アド レナリン作動性受容体‐ヘテロ三量体Gsタンパク質‐アデニル酸シクラーゼ‐アデノシン3',5'-一リン酸‐プロテインキナーゼA(PKA)シグナル伝達カスケードを活性化する。この応答に関与するPKAの主要な標的の1つに、心筋細胞へのCa2+流入を媒介するL型Ca2+チャンネルCaV1.2がある。心拍調節におけるその中心的機能から、およびその根底にある分子機構が未解明であることから、CaV1.2調節を理解することがチャンネル調節分野の至高の目標となっている。CaV1.2調節の謎の探求から、異種細胞におけるこの調節の再現可能な再構築にはCaV1.2対A-キナーゼアンカータンパク質(AKAP)比の完全なバランスが必要であることを示す新たな証拠が得られた。CaV1.2の中心に存在して孔を形成するα11.2サブユニットのサイトゾル側C末端のタンパク質分解によるプロセシングが、PKAによるCaV1.2調節に寄与し、α11.2サブユニットC末端のSer1700が関連するPKAリン酸化部位として浮上した。

J. W. Hell, β-Adrenergic Regulation of the L-Type Ca2+ Channel CaV1.2 by PKA Rekindles Excitement. Sci. Signal. 3, pe33 (2010).

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