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シロイヌナズナでは小胞体からのシグナルがブラシノステロイドのシグナル伝達を活性化し、ストレスへの順応を促す

Signaling from the Endoplasmic Reticulum Activates Brassinosteroid Signaling and Promotes Acclimation to Stress in Arabidopsis

Research Article

Sci. Signal., 28 September 2010
Vol. 3, Issue 141, p. ra69
[DOI: 10.1126/scisignal.2001140]

Ping Che1,2*, John D. Bussell1†, Wenxu Zhou1,2†, Gonzalo M. Estavillo3, Barry J. Pogson3, and Steven M. Smith1,2*

1 Australian Research Council Centre of Excellence in Plant Energy Biology, University of Western Australia, Crawley, Western Australia 6009, Australia.
2 Centre of Excellence for Plant Metabolomics, University of Western Australia, Crawley, Western Australia 6009, Australia.
3 Australian Research Council Centre of Excellence in Plant Energy Biology, Research School of Biology, Australian National University, Canberra, Australian Capital Territory 0200, Australia.

† These authors contributed equally to this work.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: ssmith@cyllene.uwa.edu.au (S.M.S.); pche@cyllene.uwa.edu.au (P.C.)

要約:植物はストレスに順応し、悪い環境状態でも生育して発達することができる。小胞体スト レスが引き金となる制御的膜内切断(RIP:Regulated intramembrane proteolysis)は、ある形式のストレスシグナル伝達を媒介する。ブラシノステロイド(BR)はストレスに対する植物の順応に関連するが、その活 性化の機構はわかっていない。今回われわれは、小胞体ストレスシグナル伝達と、BRが媒介する成長およびストレス順応との関連性を明らかにした。シロイヌ ナズナの転写因子であるbZIP17とbZIP28は、小胞体からゴルジ体へ移行して、そこでサイト2プロテアーゼによるタンパク分解性の切断をうけて放 出され、核内へと移行する。熱やタンパク質糖鎖付加の阻害などのストレスは、これら2種類のbZIPの核への移行を促進した。核に局在化したこれらの bZIPは、小胞体シャペロン遺伝子を活性化するのみならず、ストレスへの順応と生育に必要なBRシグナル伝達も活性化した。このように、bZIPは小胞 体ストレスとBRシグナル伝達を結びつけており、このことが植物の成長とストレスへの順応を統合する機構であると考えられる。

P. Che, J. D. Bussell, W. Zhou, G. M. Estavillo, B. J. Pogson, S. M. Smith, Signaling from the Endoplasmic Reticulum Activates Brassinosteroid Signaling and Promotes Acclimation to Stress in Arabidopsis. Sci. Signal. 3, ra69 (2010).

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2010年9月28日号

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