- ホーム
- 「輸送体への過度の愛着」に説明?
「輸送体への過度の愛着」に説明?
An "Inordinate Fondness for Transporters" Explained?
Sci. Signal., 7 February 2012
Vol. 5, Issue 210, p. pe5
[DOI: 10.1126/scisignal.2002837]
David J. Eide*
Department of Nutritional Sciences, University of Wisconsin-Madison, Madison, WI 53706, USA.
* Corresponding author. E-mail: eide@nutrisci.wisc.edu; telephone: 608-263-1613; fax: 608-262-5860
要約:「特定の基質を取り込むために、細胞にはなぜこんなにも多種多様な輸送体が存在するのか」というのはよく抱かれる疑問である。その答えの少なくとも一部は、デュアル輸送体系で実現されうる競争上の優位性に関する研究から垣間見られる。このような系では、環境中に栄養が豊富に存在するときには親和性の低い輸送体が機能し、栄養が不足すると親和性の高い輸送体の量が増大する。デュアル輸送体系は、細胞が徐々に飢餓状態になるにつれて遺伝子発現を誘導する際に、「準備段階」が長めに起こるようにすることができる。驚くべきことに、そのような準備段階は、栄養の少ない条件下での増殖する場合よりも、栄養量が変動する場合に重要である(栄養量の変動は自然界ではよくあることだ)。このように、今回の独創的な研究は、生物学において、デュアル輸送体系が豊富に存在する理由として、これまで考慮されていなかった説明を提供するものである。
D. J. Eide, An "Inordinate Fondness for Transporters" Explained? Sci. Signal. 5, pe5 (2012).