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REDD1は、プロテインホスファターゼ2Aを介したAktの脱リン酸化を亢進し、mTORC1シグナル伝達を抑制する

REDD1 enhances protein phosphatase 2A–mediated dephosphorylation of Akt to repress mTORC1 signaling

Research Article

Sci. Signal., 22 July 2014
Vol. 7, Issue 335, p. ra68
DOI: 10.1126/scisignal.2005103

Michael D. Dennis1, Catherine S. Coleman1, Arthur Berg2, Leonard S. Jefferson1, and Scot R. Kimball1,*

1 Department of Cellular and Molecular Physiology, Penn State University College of Medicine, Hershey, PA 17033, USA.
2 Division of Biostatistics and Bioinformatics, Penn State University College of Medicine, Hershey, PA 17033, USA.

* Corresponding author. E-mail: skimball@psu.edu

ラパマイシン標的複合体1(mTORC1)のプロテインキナーゼmTORは、成長因子と栄養素を含む同化刺激に応答して、細胞の成長および増殖を促進する。成長因子は、Aktキナーゼを刺激することで、mTORC1を活性化させる。Aktキナーゼは、結節性硬化症複合体[TSC:TSC1、TSC2、およびTBC1D7(Tre2-Bub2-Cdc16ドメインファミリーメンバー7)から成る]をリン酸化し阻害することで、mTORC1活性化因子Rheb(脳に豊富なRasホモログ)を刺激する。われわれは、REDD1(regulated in DNA damage and development 1、DNA損傷および発生で調整される分子1)がmTORC1シグナル伝達経路を抑制する機構を同定した。われわれは、Ser473ではなくThr308において、REDD1がプロテインホスファターゼ2A(PP2A)に依存するAktの脱リン酸化を促進することを見出した。TSC2のリン酸化にはSer473ではなくThr308におけるAktリン酸化が必要であることを示すこれまでの研究と一致して、REDD1に依存したTSC2リン酸化の減少、続いて、活性化状態にあるRhebの減少が観察された。REDD1とPP2Aは、野生型マウスの胚性線維芽細胞においてAktと免疫共沈降したが、REDD1ノックアウトマウスの胚性線維芽細胞において免疫共沈降しなかったことから、REDD1がPP2Aの触媒サブユニットの標的タンパク質として働きうることが示唆された。さらに、REDD1がmTORC1へのシグナル伝達を抑制するには、AktとPP2Aの両者に結合することが不可欠であった。総じて、これらの結果は、REDD1が、mTORC1の抑制因子としてだけではなく、成長因子と栄養素に応答したAktリン酸化の持続的な調節因子として働くことを証明している。

M. D. Dennis, C. S. Coleman, A. Berg, L. S. Jefferson, and S. R. Kimball, REDD1 enhances protein phosphatase 2A-mediated dephosphorylation of Akt to repress mTORC1 signaling. Sci. Signal. 7, ra68 (2014).

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