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TRPV1チャネルの活性化は、膜ホスホイノシチドを枯渇させて機械感受性Piezoチャネルの活性を阻害する
Activation of TRPV1 channels inhibits mechanosensitive Piezo channel activity by depleting membrane phosphoinositides
Sci. Signal., 10 February 2015
Vol. 8, Issue 363, p. ra15
DOI: 10.1126/scisignal.2005667
Istvan Borbiro, Doreen Badheka, and ibor Rohacs*
Department of Pharmacology and Physiology, Rutgers New Jersey Medical School, Newark, NJ 07103, USA.
* Corresponding author. E-mail: tibor.rohacs@rutgers.edu
要約 カプサイシンは、熱感受性TRPV1(一過性受容体電位バニロイド1)イオンチャネルの活性化因子であり、局所鎮痛薬として使用されている。われわれは、後根神経節ニューロンあるいは異種発現系におけるカプサイシンによるTRPV1チャネルの活性化が、Ca2+誘導性のホスホリパーゼCδ(PLCδ)の活性化を介して細胞膜からホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸[PI(4,5)P2]およびその前駆体のホスファチジルイノシトール4-リン酸[PI(4)P]を枯渇させることによって、機械感受性Piezo1およびPiezo2チャンネルを阻害することを発見した。化学的に誘導可能なホスホイノシチドホスホスファターゼおよび受容体誘導性のPLCβの活性化を用いた実験により、Piezoチャネルの阻害はPI(4)PおよびPI(4,5)P2の両方の枯渇を必要とすることが示された。Piezo1チャネルを含む膜パッチが細胞から切り取られた切除インサイドアウト構成において、機械的に活性化された電流振幅はかなり減少していた。PI(4,5)P2およびPI(4)Pをこれらの切除パッチに加えるとこの低下が抑えられた。従って、われわれは、Piezoチャネルの活性がホスホイノシチドの存在を必要とし、PI(4,5)P2およびPI(4)Pの両方の枯渇がチャネル活性を低下させると結論づけた。機械感受性イオンチャネルの調節における異なる膜脂質の役割を明らかにしたことに加えて、これらのデータはPiezo2チャネルの阻害が、カプサイシンの鎮痛作用に寄与し得ることを示唆している。
I. Borbiro, D. Badheka, and T. Rohacs, Activation of TRPV1 channels inhibits mechanosensitive Piezo channel activity by depleting membrane phosphoinositides. Sci. Signal. 8, ra15 (2015).