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チロシンホスファターゼSHP-1は免疫シナプスにおいてアダプタータンパク質CrkIIを活性化することによってT細胞接着を促進する

The tyrosine phosphatase SHP-1 promotes T cell adhesion by activating the adaptor protein CrkII in the immunological synapse

Research Article

Sci. Signal. 08 Aug 2017:
Vol. 10, Issue 491, eaal2880
DOI: 10.1126/scisignal.aal2880

Inbar Azoulay-Alfaguter1, Marianne Strazza1, Michael Peled1, Hila K. Novak2,3, James Muller2, Michael L. Dustin2,3, and Adam Mor1,2,4,*

1 Department of Medicine, New York University School of Medicine, New York, NY 10016, USA.
2 Department of Pathology, New York University School of Medicine, New York, NY 10016, USA.
3 Kennedy Institute for Rheumatology, Oxford University, Oxford, UK.
4 Perlmutter Cancer Center, New York University School of Medicine, New York, NY 10016, USA.

* Corresponding author. Email: adam.mor@nyumc.org

要約
アダプタータンパク質CrkIIは、Rap1の活性化因子であるグアニンヌクレオチド交換因子C3Gを動員することによってT細胞接着を調節する。その後、Rap1はインテグリンLFA-1を刺激し、T細胞の抗原提示細胞(APC)との接着および相互作用を引き起こす。T細胞が正常に機能し、教育されるには、APCへの接着が不可欠である。T細胞とAPCとの相互作用は免疫シナプスとして知られており、中心部超分子活性化クラスター(c-SMAC)と周辺部超分子活性化クラスター(p-SMAC)に分けられる特異的なタンパク質構成を特徴とする。全反射照明蛍光(TIRF)顕微鏡による観察と支持脂質二重膜を用いた実験によって、活性化されたRap1が免疫シナプスに動員され、p-SMACに局在することが確認された。C3Gと活性型(脱リン酸化)CrkIIも同じコンパートメントに局在していた。対照的に、非活性型(リン酸化)CrkIIはc-SMACに限局されていた。CrkIIの活性化とその後のc-SMACからp-SMACへの移動は、T細胞受容体の下流で作用するホスファターゼSHP-1に依存していた。p-SMACにおいて、CrkIIはC3Gを動員し、Rap1の活性化およびLFA-1によるT細胞のAPCへの接着を引き起こした。T細胞の接着と移動の両方に、SHP-1が機能的に不可欠であった。まとめると、今回のデータは、免疫シナプスにおいてRap1の活性化パターンを再形成するのに、SHP-1がCrkIIを通して作用するシグナル伝達経路を浮き彫りにしている。

Citation: I. Azoulay-Alfaguter, M. Strazza, M. Peled, H. K. Novak, J. Muller, M. L. Dustin, A. Mor, The tyrosine phosphatase SHP-1 promotes T cell adhesion by activating the adaptor protein CrkII in the immunological synapse. Sci. Signal. 10, eaal2880 (2017).

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