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β-アレスチン偏向性のβ-アドレナリン作動性シグナル伝達がコカイン報酬記憶の消去学習を促進する
β-Arrestin-biased β-adrenergic signaling promotes extinction learning of cocaine reward memory
Sci. Signal. 09 Jan 2018:
Vol. 11, Issue 512, eaam5402
DOI: 10.1126/scisignal.aam5402
Bing Huang, Youxing Li, Deqin Cheng, Guanhong He, Xing Liu*, and Lan Ma*
State Key Laboratory of Medical Neurobiology, School of Basic Medical Sciences and the Institutes of Brain Science, and Department of Neurosurgery, Huashan Hospital, Fudan University, Shanghai 200032, China.
*Corresponding author. Email: lanma@fudan.edu.cn (L.M.); xingliu@fudan.edu.cn (X.L.)
要約
コカインに関連した文脈的手がかりの消去学習は、コカイン常習再発の防止に役立つ可能性がある。消去学習中にβ-アドレナリン受容体(β-AR)を薬理学的に操作することが、薬物依存の治療戦略候補として開発されている。われわれは、コカイン関連記憶の消去学習が、β-アレスチン2偏向性のβ-アドレナリン作動性シグナル伝達を介するものであり、ヘテロ三量体グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)依存性のβ-アドレナリン作動性シグナル伝達を介するものではないことを立証した。非偏向性β-AR拮抗薬であるプロプラノロールの投与は、コカイン条件付け場所嗜好性の消去学習、および大脳辺縁系下前頭前野皮質の関連するERK活性化を阻害したが、Gタンパク質偏向性のβ-AR拮抗薬であるカルベジロールはこれらを阻害しなかった。大脳辺縁系下前頭前野皮質におけるβ-アレスチン2の過剰発現は消去学習を促進し、これはプロプラノロールにより遮断された。大脳辺縁系下前頭前野皮質、特に興奮性ニューロンにおけるβ-アレスチン2のノックアウトは、コカイン条件付け場所嗜好性の消去学習を阻害し、これはカルベジロールによってレスキューされなかった。大脳辺縁系下の興奮性ニューロンにおけるβ-アレスチン2シグナル伝達は、コカイン自己投与モデルにおける消去学習にも必要であった。われわれの結果は、大脳辺縁系下前頭前野皮質におけるβ-アレスチン偏向性のβ-アドレナリン作動性シグナル伝達がコカイン関連記憶の消去学習を制御していること、さらに、これが依存症治療の治療標的になりえることを示唆している。
Citation: B. Huang, Y. Li, D. Cheng, G. He, X. Liu, L. Ma, β-Arrestin-biased β-adrenergic signaling promotes extinction learning of cocaine reward memory. Sci. Signal. 11, eaam5402 (2018).