• ホーム
  • ATMはDNA損傷応答とタンパク質恒常性を遺伝学的に分離可能な経路を介して指揮する

ATMはDNA損傷応答とタンパク質恒常性を遺伝学的に分離可能な経路を介して指揮する

ATM directs DNA damage responses and proteostasis via genetically separable pathways

Research Article

Sci. Signal. 09 Jan 2018:
Vol. 11, Issue 512, eaan5598
DOI: 10.1126/scisignal.aan5598

Ji-Hoon Lee1,*, Michael R. Mand1,*, Chung-Hsuan Kao1, Yi Zhou1, Seung W. Ryu1, Alicia L. Richards2,3, Joshua J. Coon2,3, and Tanya T. Paull1,†

1 Howard Hughes Medical Institute, Department of Molecular Biosciences, University of Texas at Austin, Austin, TX 78712, USA.
2 Department of Chemistry, University of Wisconsin-Madison, Madison, WI 53706, USA.
3 Department of Biomolecular Chemistry, University of Wisconsin-Madison, Madison, WI 53706, USA.

† Corresponding author. Email: tpaull@utexas.edu

* These authors contributed equally to this work.

要約

プロテインキナーゼATMはDNA損傷応答の主要制御因子であるが、酸化ストレスにも直接応答する。ATMが欠失すると、小脳障害、がん、糖尿病、早老などの多面的症状を伴う神経変性疾患である毛細血管拡張性運動失調症が引き起こされる。われわれは、機能分離(separation-of-function)変異を用いて、DNA損傷によるATM活性化と酸化ストレスによるATM活性化を遺伝学的に分離した。そして、Mre11-Rad50-Nbs1複合体とDNA二重鎖切断によるATM活性化を欠失させると、DNA損傷に応答した細胞生存能、チェックポイント活性化、DNA末端の削り込みが損なわれることを見出した。対照的に、ATMの酸化的活性化を欠失させると、DNA損傷関連の成否への影響は最小限であったが、酸化ストレス後にATMに媒介されるチェックポイント応答の開始が阻害され、ミトコンドリア機能とオートファジーに欠損がみられた。さらに、酸化ストレスによって活性化できない変異型ATMを発現させると、広範囲でタンパク質凝集が引き起こされた。これらの結果は、ヒト細胞においてATM活性化の機構がATM活性化による細胞代謝およびDNA損傷応答への影響に直接関連することを示し、ATMをタンパク質恒常性と関連づけるものである。

Citation: J.-H. Lee, M. R. Mand, C.-H. Kao, Y. Zhou, S. W. Ryu, A. L. Richards, J. J. Coon, T. T. Paull, ATM directs DNA damage responses and proteostasis via genetically separable pat. Sci. Signal. 11, eaan5598 (2018).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2018年1月9日号

Editors' Choice

抗生物質は宿主細胞の代謝に直接的に影響する

Research Article

ATMはDNA損傷応答とタンパク質恒常性を遺伝学的に分離可能な経路を介して指揮する

β-アレスチン偏向性のβ-アドレナリン作動性シグナル伝達がコカイン報酬記憶の消去学習を促進する

フォスファターゼPP2AcのCa2+依存的脱メチル化は解糖の阻害とは独立にグルコース欠乏誘導性細胞死を促進する

最新のResearch Article記事

2025年04月22日号

がん細胞の再上皮化がオートファジーとDNA損傷を増加させる:乳がんの休眠と再発への影響

2025年04月08日号

統合失調症治療薬チオチキセンはアルギナーゼ1および連続的なエフェロサイトーシスを誘導することによってマクロファージを刺激して病原性細胞を除去する

2025年04月01日号

RIPK3はニューロンでRHIMドメイン依存性の抗ウイルス炎症転写を調整する

2025年03月25日号

細胞内RNAに結合するループス由来自己抗体はcGASに媒介される腫瘍免疫を活性化し、RNAを細胞へ送達することができる

2025年03月18日号

転移性前立腺がんにおいてキナーゼPLK1は、抗アンドロゲン剤エンザルタミドに対するヘッジホッグシグナル伝達依存性の耐性を促進する