• ホーム
  • SMAD2およびSMAD3上の疎水性パッチはコファクターに対する選択的結合を決定する

SMAD2およびSMAD3上の疎水性パッチはコファクターに対する選択的結合を決定する

Hydrophobic patches on SMAD2 and SMAD3 determine selective binding to cofactors

Research Article

Sci. Signal. 27 Mar 2018:
Vol. 11, Issue 523, eaao7227
DOI: 10.1126/scisignal.aao7227

Ken-ichi Miyazono1, Saho Moriwaki1, Tomoko Ito1, Akira Kurisaki2,3, Makoto Asashima2, and Masaru Tanokura1,*

1 Laboratory of Basic Science on Healthy Longevity, Department of Applied Biological Chemistry, Graduate School of Agricultural and Life Sciences, The University of Tokyo, Tokyo 113-8657, Japan.
2 Biotechnology Research Institute for Drug Discovery, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, Ibaraki 305-8560, Japan.
3 Graduate School of Biological Sciences, Nara Institute of Science and Technology, Nara 630-0192, Japan.

* Corresponding author. Email: amtanok@mail.ecc.u-tokyo.ac.jp

要約

サイトカインのトランスフォーミング成長因子-β(TGF-β)スーパーファミリーは、細胞増殖、免疫応答、自食作用、および老化を含む様々な生物学的過程を調節する。TGF-βシグナル伝達の調節不全は、がんおよび線維症などの様々な疾患を引き起こす。SMAD2およびSMAD3は、TGF-βシグナル伝達に関与するコア転写因子であり、TGF-βシグナル伝達に応答してSMAD4とヘテロ三量体複合体(SMAD2-SMAD2-SMAD4、SMAD3-SMAD3-SMAD4およびSMAD2-SMAD3-SMAD4)を形成する。これらのヘテロ三量体複合体はコファクターと相互作用してTGF-β依存性遺伝子の発現を制御する。SMAD2およびSMAD3は、他の転写因子、コアクチベーターまたはコリプレッサーと複合体を形成するかどうかに依存して標的遺伝子を促進または抑制しうる。したがって、特定のコファクターの選択は、これらの転写因子の適切な活性に重要である。SMAD2およびSMAD3がコファクターを選択する構造基盤を明らかにするため、われわれは、転写因子FOXH1と複合体化したSMAD3および転写コリプレッサーSKIと複合体化したSMAD2の結晶構造を決定した。複合体の構造は、SMAD2およびSMAD3のMAD相同性2(MH2)ドメインがその表面に複数の疎水性パッチをもつことを示す。コファクターは、SMAD2およびSMAD3と協同的または競合的に相互作用するために、これらのパッチの様々なサブセットにつながれ、TGF-βシグナル伝達の出力を制御する。

Citation: K. Miyazono, S. Moriwaki, T. Ito, A. Kurisaki, M. Asashima, M. Tanokura, Hydrophobic patches on SMAD2 and SMAD3 determine selective binding to cofactors. Sci. Signal. 11, eaao7227 (2018).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2018年3月27日号

Editors' Choice

新たなつながり:ROSによって治癒する

Research Article

δカテニンのパルミトイル化は感覚ニューロンにおいてキネシンに媒介されるNav1.6の膜輸送を促進して神経障害性疼痛を悪化させる

キナーゼS6K1のp85アイソフォームは分泌型腫瘍性タンパク質として働き細胞遊走と腫瘍増殖を促進する

SMAD2およびSMAD3上の疎水性パッチはコファクターに対する選択的結合を決定する

最新のResearch Article記事

2025年04月22日号

がん細胞の再上皮化がオートファジーとDNA損傷を増加させる:乳がんの休眠と再発への影響

2025年04月08日号

統合失調症治療薬チオチキセンはアルギナーゼ1および連続的なエフェロサイトーシスを誘導することによってマクロファージを刺激して病原性細胞を除去する

2025年04月01日号

RIPK3はニューロンでRHIMドメイン依存性の抗ウイルス炎症転写を調整する

2025年03月25日号

細胞内RNAに結合するループス由来自己抗体はcGASに媒介される腫瘍免疫を活性化し、RNAを細胞へ送達することができる

2025年03月18日号

転移性前立腺がんにおいてキナーゼPLK1は、抗アンドロゲン剤エンザルタミドに対するヘッジホッグシグナル伝達依存性の耐性を促進する