• ホーム
  • KCa3.1チャネル活性の欠損はがん患者由来のCD8+ T細胞がアデノシンに富む微小環境に浸潤する能力を制限する

KCa3.1チャネル活性の欠損はがん患者由来のCD8+ T細胞がアデノシンに富む微小環境に浸潤する能力を制限する

A defect in KCa3.1 channel activity limits the ability of CD8+ T cells from cancer patients to infiltrate an adenosine-rich microenvironment

Research Article

Sci. Signal. 24 Apr 2018:
Vol. 11, Issue 527, eaaq1616
DOI: 10.1126/scisignal.aaq1616

Ameet A. Chimote1, Andras Balajthy1,*, Michael J. Arnold1, Hannah S. Newton1, Peter Hajdu1,†, Julianne Qualtieri2, Trisha Wise-Draper3, and Laura Conforti1,‡

1 Division of Nephrology, Department of Internal Medicine, University of Cincinnati, Cincinnati, OH 45267, USA.
2 Department of Pathology, University of Cincinnati, Cincinnati, OH 45267, USA.
3 Division of Hematology Oncology, Department of Internal Medicine, University of Cincinnati, Cincinnati, OH 45267, USA.

‡ Corresponding author. Email: laura.conforti@uc.edu

* Present address: Department of Pediatrics, Faculty of Medicine, University of Debrecen, Egyetem tér 1, Debrecen 4032, Hungary.

† Present address: Department of Biophysics and Cell Biology, Faculty of Dentistry, University of Debrecen, Egyetem tér 1, Debrecen 4032, Hungary.

要約

細胞傷害性T細胞の固形腫瘍に浸潤する能力の制限は、免疫監視およびがんの免疫療法の有効性を妨げる。アデノシンは固形腫瘍に蓄積し、腫瘍特異的T細胞を阻害する。アデノシンは、A2A受容体(A2AR)を介したT細胞の運動性およびKCa3.1チャネルの抑制を阻害する。われわれは、頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)患者由来の末梢血CD8+ T細胞の遊走に及ぼすアデノシンの影響を明らかにするために、三次元走化性実験を行った。HNSCC CD8+ T細胞の走化性はアデノシンの存在下で減少し、その効果は健康なドナー(HD)由来のCD8+ T細胞よりもHNSCC CD8+ T細胞に対しての方が大きかった。この応答は、CD8+ T細胞が腫瘍に浸潤できないことと相関した。アデノシンの効果は、A2ARアゴニストによって模倣され、A2ARアンタゴニストによって妨げられた。HNSCCとHD由来のCD8+ T細胞の間で、A2ARの発現、3′,5′-環状アデノシン一リン酸の存在量、また、プロテインキナーゼAの1型の活性に差異はなかった。代わりに、HNSCC CD8+ T細胞において、KCa3.1チャネルの発現ではなく活性の低下を検出した。1-EBIOによるKCa3.1チャネルの活性化は、アデノシンの存在下でHNSCC CD8+ T細胞の走化性を回復させた。われわれのデータは、HNSCC CD8+ T細胞のアデノシンに対する感受性の増加、および、これらT細胞の腫瘍への浸潤を増加させる可能性があるKCa3.1チャネル活性化剤の潜在的な治療上の利点を裏付ける機構を強調する。

Citation: A. A. Chimote, A. Balajthy, M. J. Arnold, H. S. Newton, P. Hajdu, J. Qualtieri, T. Wise-Draper, L. Conforti, A defect in KCa3.1 channel activity limits the ability of CD8+ T cells from cancer patients to infiltrate an adenosine-rich microenvironment. Sci. Signal. 11, eaaq1616 (2018)

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2018年4月24日号

Editor's Choice

新たなつながり:ユーイング肉腫の「ドライバー」がそのアキレス腱である

Research Article

マイトファジーはパーキン依存性UCP1非依存性の機構を介してベージュ脂肪細胞維持を制御する

Jak-TGFβのクロストークは一過性の脂肪組織炎症とベージュ脂肪細胞化を結びつける

KCa3.1チャネル活性の欠損はがん患者由来のCD8+ T細胞がアデノシンに富む微小環境に浸潤する能力を制限する

最新のResearch Article記事

2024年2月27日号

ALOX5はCD4+ T細胞のパイロトーシスと関節リウマチにおける組織炎症を駆動する

2024年2月20日号

デザイナー高密度リポタンパク質粒子が内皮バリア機能を強化し炎症を抑制する

T細胞におけるgp130シグナル伝達の活性化がTH17介在性の多臓器自己免疫を引き起こす

2024年2月13日号

GPCRキナーゼはその細胞内局在に応じて偏向性のCXCR3下流シグナル伝達を差次的に調節する

リラキシン-3受容体のGαi/oバイアスステープルペプチドアゴニストによるバイアスアゴニズムの機構