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二重機能をもつケモカイン受容体CCR2は別個の機構を介して遊走とケモカインのスカベンジングを駆動する

The dual-function chemokine receptor CCR2 drives migration and chemokine scavenging through distinct mechanisms

Research Article

SCIENCE SIGNALING
31 Jan 2023 Vol 16, Issue 770
DOI: 10.1126/scisignal.abo4314

Thomas M. Shroka1, 2, Irina Kufareva2, Catherina L. Salanga2, Tracy M. Handel2, *

  1. 1 Biomedical Sciences Program, School of Medicine, University of California, San Diego, La Jolla, CA 92093, USA.
  2. 2 Skaggs School of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences, University of California, San Diego, La Jolla, CA 92093, USA.

* Corresponding author. Email: thandel@health.ucsd.edu

CCR2はシグナル伝達とスカベンジングを分離する

CCR2は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)としてケモカインCCL2に応答して単球の遊走を促進する。一方で、CCR2は、CCL2のスカベンジャー受容体としてCCL2を細胞内に隔離して細胞外CCL2濃度を調節する。Shrokaらは、GPCRのシグナル伝達と輸送に通常関与するタンパク質がCCR2によるスカベンジング(除去)に必要かどうかを調べた。そして、Gタンパク質、キナーゼのGRKファミリー、βアレスチンアダプタータンパク質、またはクラスリンの欠損がCCR2のスカベンジング能力に影響しないことを明らかにした。さらに、これらのタンパク質は、CCR2を介したスカベンジングに不可欠な過程であるCCR2の恒常的な内部移行と細胞表面へのリサイクルにも関与しなかった。これらの結果は、CCR2によるシグナル伝達群とスカベンジング群が独立して薬理学的標的になりうる可能性を提示している。

要約

C-Cケモカイン受容体2(CCR2)は二重機能をもつ受容体である。CCR2は、他のGタンパク質共役ケモカイン受容体と同様に、ケモカインCCL2に応答して組織への単球の浸潤を促し、非定型ケモカイン受容体(ACKR)と同じように、細胞外環境からケモカインを除去する。そのため、CCR2はGタンパク質共役受容体(GPCR)としてCCL2依存性シグナル伝達を仲介しつつ、スカベンジャー受容体としてCCL2シグナル伝達を制限している。われわれは、GPCRのシグナル伝達と内部移行に関連する典型的な細胞内タンパク質の関与など、CCR2によるスカベンジングの基礎となる機構を調べた。われわれはCRISPRノックアウト細胞株を用いて、CCR2が恒常的な内部移行によってCCL2を細胞外空間から除去したあと、さらなるリガンド隔離のために細胞表面へリサイクルすることを明らかにした。この過程は、Gタンパク質、GPCRキナーゼ(GRK)、βアレスチン、クラスリンとは独立して起こり、GPCRキナーゼ(GRK)、またはβアレスチン、またはその両方と共役する他の「プロフェッショナルな(スカベンジング専門の)」ケモカインスカベンジャー受容体とは異なるものであった。これらの知見は、CCR2スカベンジングを決定づける分子調節因子について理解を深めるための土台となり、治療のために重要となるこの受容体を標的とする薬の開発にも影響する可能性がある。

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