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オートファゴソーム形成とマイトファジーにおけるベクリン1とベクリン2の機能的役割および相互作用を解明する
Deciphering functional roles and interplay between Beclin1 and Beclin2 in autophagosome formation and mitophagy
SCIENCE SIGNALING
31 Jan 2023 Vol 16, Issue 770
DOI: 10.1126/scisignal.abo4457
Justin M. Quiles†, Rita H. Najor†, Eileen Gonzalez†, Monica Jeung, Wenjing Liang, Sarah M. Burbach, Erika A. Zumaya, Rachel Y. Diao, Mark A. Lampert, Åsa B. Gustafsson*
Skaggs School of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences, University of California, San Diego, La Jolla, CA 92093-0751, USA.
† These authors contributed equally to this work.
* Corresponding author. Email: abgustafsson@ucsd.edu
2つのベクリンホモログの物語
細胞は、オートファジーと呼ばれる過程を介して巨大分子やオルガネラから栄養素を再生利用しており、オートファジーの調節不全はいくつかの疾患の病因に寄与する。Quilesらは、オートファジーの鍵となる段階であるオートファゴソーム形成の開始における、相同性の高いベクリン1およびベクリン2の役割を詳細に調べた。ベクリン1またはベクリン2のいずれかのみを発現する細胞の分析によって、両ホモログが基本条件下のオートファジーには必要であるが、ストレス誘導性オートファジーには不要であることが明らかになった。ベクリン1は、ミトコンドリアのオートファジー性分解であるマイトファジーを特異的に促進し、この機能は、ベクリン2には存在しない、ベクリン1の進化的に保存されたセリン残基のリン酸化を必要とした。これらの結果は、さまざまな条件下のオートファジーにおけるベクリン1とベクリン2の役割を明確に説明している。-WW
要約
オートファジー過程による巨大分子やオルガネラの分解は、細胞の恒常性にきわめて重要であり、加齢や疾患において障害されている場合が多い。ベクリン1とベクリン2はオートファジー誘導に関与しており、これらのホモログは高度のアミノ酸配列類似性を共有するが、N末端領域が互いに異なる。今回われわれは、オートファジーと、ミトコンドリアを標的とする特化型のオートファジーであるマイトファジーの調節における、ベクリンホモログの機能を検討した。両方のベクリンホモログがオートファゴソーム形成に寄与したが、いずれのベクリンホモログにも依存しないオートファゴソーム形成の機構が、飢餓またはミトコンドリア損傷に反応して発生した。ベクリン1欠損HeLa細胞およびマウス胚線維芽細胞おいてのみ、オートファゴソームのミトコンドリア貪食の欠損によってマイトファジーが障害され、マイトファジーにおけるベクリン1の機能には、キナーゼUlk1による保存されたSer15残基のリン酸化が必要であった。ミトコンドリア-小胞体結合膜(mitochondria-ER-associated membranes:MAM)は、マイトファジーにおけるオートファゴソーム形成の重要な部位であり、ベクリン1はマイトファジー中にMAMに局在化したが、ベクリン2またはSer15がリン酸化されないベクリン1変異体にはそのような局在化は認められなかった。われわれの結果は、ベクリン1が、ミトコンドリアに近接してオートファゴソーム形成を開始することにより、選択的マイトファジーにおいて調節的役割を果たし、この機能は固有のN末端領域にあるSer15のUlk1を介するリン酸化によって促進されることを立証している。