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TGF-βはマクロファージにおいて解糖系と炎症を分離し、敗血症における生存率を制御している

TGF-β uncouples glycolysis and inflammation in macrophages and controls survival during sepsis

Research Article

SCIENCE SIGNALING
8 Aug 2023 Vol 16, Issue 797
[DOI: 10.1126/scisignal.ade0385]

Thierry Gauthier1, Chen Yao2, Tyrone Dowdy3, Wenwen Jin1, Yun-Ji Lim1, Liliana C. Patiño1, Na Liu1, Shannon I. Ohlemacher4, Andrew Bynum1, Rida Kazmi1, Carole A. Bewley4, Mladen Mitrovic5, Daniel Martin6, Robert J. Morell6, Michael Eckhaus7, Mioara Larion3, Roxane Tussiwand5, John J. O'Shea2, WanJun Chen1, *

  1. 1 Mucosal Immunology Section, National Institutes of Dental and Craniofacial Research (NIDCR), National Institutes of Health, Bethesda, MD 20892, USA.
  2. 2 National Institute of Arthritis and Musculoskeletal and Skin Diseases, National Institutes of Health, Bethesda, MD 20892, USA.
  3. 3 Neuro-Oncology Branch, National Cancer Institute, National Institutes of Health, Bethesda, MD 20892, USA.
  4. 4 Laboratory of Bioorganic Chemistry, National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases, National Institutes of Health, Bethesda, MD 20892, USA.
  5. 5 Immune Regulation Unit, National Institutes of Dental and Craniofacial Research (NIDCR), National Institutes of Health, Bethesda, MD 20892, USA.
  6. 6 Genomics and Computational Biology Core, National Institute on Deafness and Other Communication Disorders, National Institutes of Health, Bethesda, MD 20892, USA.
  7. 7 Division of Veterinary Resources, Pathology Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD 20892, USA.

* Corresponding author. Email: wchen@mail.nih.gov

Editor's summary

マクロファージは炎症反応を引き起こしたり消退させたりすることができる。免疫細胞は通常、解糖代謝によって炎症性表現型となるが、Gauthierらは、サイトカインであるTGF-βによって活性化されたマクロファージには解糖代謝が生じるものの、その炎症性は低いことを見いだした。TGF-βは敗血症を有するマウスの生存率を低下させ、これは、臓器機能障害に至ることがある敗血症の合併症である凝固の亢進を伴っていた。敗血性患者においてCOVID-19感染症は、TGF-β受容体、解糖系酵素および凝固因子をコードする遺伝子の発現亢進と関連していた。したがって敗血性患者ではTGF-βを標的とすることにより、生存率を改善し、凝固関連合併症を軽減できる可能性がある。—Wei Wong

要約

多様な刺激に応じたマクロファージの活性化を維持するためには、マクロファージの代謝の変化が必要である。われわれは、敗血症のマウスモデルにおいてサイトカインTGF-β(トランスフォーミング増殖因子-β)が、炎症性サイトカインの産生とは独立してマクロファージの解糖系を調節し、その生存率に影響していることを明らかにした。マクロファージが活性化されている間、TGF-βは解糖系酵素PFKL(phosphofructokinase-1 liver type)の発現量および活性を亢進して解糖系を促進したが、炎症促進性サイトカインの産生は抑制していた。解糖系の亢進にはmTOR-c-MYC依存性経路が介在していたが、サイトカイン産生の抑制は、転写コアクチベーターSMAD3の活性化および炎症促進性転写因子であるAP-1、NF-κBおよびSTAT1の活性の抑制によるものであった。LPS誘導性エンドトキシン血症マウスおよび実験的に誘導した敗血症マウスにおいて、TGF-β誘導性のマクロファージ解糖系亢進に伴い生存率が低下し、これは血液凝固の亢進と関連していた。敗血性患者コホートの解析から、骨髄系細胞におけるPFKLおよびTGFBRI(TGF-β受容体をコードする)の発現量、並びにF13A1(凝固因子をコードする)の発現量が、COVID-19感染症と正に相関していることが明らかとなった。したがってこれらの結果は、TGF-βがマクロファージの代謝の重要な調節因子であること、さらに敗血症患者における治療標的となりえることを示唆している。

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