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qおよびβ-アレスチン共役のためのアンジオテンシンII 1型受容体のアロステリーを明らかにする

Unraveling allostery within the angiotensin II type 1 receptor for Gαq and β-arrestin coupling

Research Article

SCIENCE SIGNALING
8 Aug 2023 Vol 16, Issue 797
[DOI: 10.1126/scisignal.adf2173]

Yubo Cao1, †, Wijnand J. C. van der Velden2, †, Yoon Namkung3, Anita K. Nivedha2, Aaron Cho3, Dana Sedki3, Brian Holleran4, Nicholas Lee3, Richard Leduc4, Sanychen Muk2, Keith Le2, Supriyo Bhattacharya2, Nagarajan Vaidehi2, *, Stéphane A. Laporte1, 3, *

  1. 1 Department of Pharmacology and Therapeutics, McGill University, Montréal, Québec H3G 1Y6, Canada.
  2. 2 Department of Computational and Quantitative Medicine, Beckman Research Institute of the City of Hope, Duarte, CA 91010, USA.
  3. 3 Department of Medicine, McGill University Health Center, McGill University, Montréal, Québec H4A 3J1, Canada.
  4. 4 Department of Pharmacology-Physiology, Université de Sherbrooke, Sherbrooke, Québec J1H 5N4, Canada.

* Corresponding author. Email: nvaidehi@coh.org (N.V.); stephane.laporte@mcgill.ca (S.A.L.)

† These authors contributed equally to this work.

Editor's summary

アンジオテンシンII 1型受容体(AT1R)は、Gタンパク質Gαqまたは足場タンパク質β-アレスチンのどちらに共役するかに応じて異なる生物学的作用を及ぼす。エフェクターの共役をアロステリックに調節する残基を同定するために、Caoらは、AT1Rの359個のアラニンまたはグリシン置換変異体の特性を解析した。Gαq共役に影響を及ぼす変異は受容体全体の複数の構造領域に存在し、膜貫通ドメイン4に集中していたβ-アレスチン共役を調節する変異と比べて数が多かった。多数の残基がリガンド結合部位より遠位に位置していた。さらに、AT1Rには複数のアロステリック伝達経路が含まれたことから、AT1R活性化の下流でシグナル伝達をアロステリックに調節する部位がさらに同定される可能性が示唆された。—Wei Wong

要約

Gタンパク質共役受容体はGタンパク質とβ-アレスチンの両方に結合し、それらの共役はリガンドと変異によってバイアスされる可能性がある。今回われわれは、エフェクターとアンジオテンシンII(AngII)1型受容体(AT1R)の共役の基礎にある構造要素と機構を明らかにするために、受容体の全配列のアラニン系統的変異導入法と、変異受容体とのGαqおよびβ-アレスチンの結合の薬理学的プロファイリングおよび分子動力学シミュレーションを併用した。GαqとAT1Rの共役には、受容体全体に広がる多数の残基が関与する一方、β-アレスチン共役の調節に寄与する受容体の構造領域はより少ないことが示された。膜貫通ドメイン4の残基配列がβ-アレスチンへのバイアスを与え、AT1Rの機能的選択性に重要な構造要素であった。さらに、変異するとバイアスされたシグナル伝達を生み出す残基集団に囲まれた、アロステリックな低分子結合部位が同定された。最後に、Gαq共役部位から生じるAT1R内のアロステリック伝達は、オルソステリックなAngII結合部位を越え、現時点では未解明の構造領域を含む受容体のさまざまな領域にわたって広がることが示された。われわれの結果は、Gαqおよびβ-アレスチン共役をバイアスさせるAT1R内の構造要素と機構を明らかにしており、研究目的の偏向した受容体の設計やアロステリック調節因子の開発に利用できる可能性がある。

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