- ホーム
- リンパ球細胞株におけるBTKシグナル伝達で膜結合モジュールが二量体化するコンディショナルな要件
リンパ球細胞株におけるBTKシグナル伝達で膜結合モジュールが二量体化するコンディショナルな要件
Conditional requirement for dimerization of the membrane-binding module for BTK signaling in lymphocyte cell lines
SCIENCE SIGNALING
14 Jan 2025 Vol 18, Issue 869
[DOI: 10.1126/scisignal.ado1252]
Timothy J. Eisen1, 2, 3, Sam Ghaffari-Kashani1, 2, Chien-Lun Hung3, 4, Jay T. Groves1, 2, Arthur Weiss5, 6, John Kuriyan3, 4, *
- 1 Department of Chemistry, University of California, Berkeley, CA , USA.
- 2 California Institute for Quantitative Biosciences, University of California, Berkeley, CA , USA.
- 3 Department of Biochemistry, Vanderbilt University School of Medicine, Nashville, TN, USA.
- 4 Department of Chemistry, Vanderbilt University, Nashville, TN, USA.
- 5 Department of Microbiology and Immunology, University of California, San Francisco, CA , USA.
- 6 Division of Rheumatology, Department of Medicine, University of California, San Francisco, CA , USA.
- * Corresponding author. Email: john.kuriyan@vanderbilt.edu
Editor's summary
チロシンキナーゼBTKは、リンパ球の機能にとって重要である。BTKは、そのプレクストリン相同およびtec相同(PH-TH)ドメインを介して細胞膜のホスファチジルイノシトールに結合し、この二量体形成によってBTK活性を増大させることができる。Eisenらは、Ramos B細胞およびJurkat T細胞においてPH-TH二量体化がBTKシグナル伝達にどのように関与するのかを解析した。変異導入アッセイによって、Jurkat 細胞ではPH-THモジュールの二量体化とBTKキナーゼ活性が両方ともBTKシグナル伝達に必要であるが、Ramos 細胞では必要ないことが明らかになった。この研究は、リンパ球におけるBTKの非触媒性の役割について洞察を与えるものである。—Amy E. Baek
要約
ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)は、免疫細胞の主要な薬物標的である。膜に結合するBTKのプレクストリン相同およびtec相同(PH-TH)ドメインは、シグナル伝達に必要である。PH-THモジュールの二量体化は、in vitroでBTKのキナーゼ活性を強く刺激する。本稿でわれわれは、BTKがPH-THモジュールを用いて細胞内で二量体化するかどうか、また、この二量体化がシグナル伝達に必要かどうかを調べた。この問いに取り組むために、われわれはRamos B細胞およびJurkat T細胞においてBTKの機能を測定するためのハイスループット変異導入アッセイを開発した。そして、PH-THモジュールの二量体化とBTKキナーゼ活性が機能に必要かどうかを評価するために、PH-THモジュールとキナーゼドメインに含まれる何千もの点変異について適応コストを測定した。Ramos細胞では、PH-TH二量体化とキナーゼ活性のいずれもBTKシグナル伝達に必要ないことがわかった。その代わりに、Ramos細胞では、膜吸着を促進するようなPH-THモジュール変異によって、PH-TH二量体化の減少という代償と引き換えに、BTKシグナル伝達が促進されていた。対照的に、Jurkat細胞では、BTKシグナル伝達がPH-TH二量体化とキナーゼ活性の両方に依存することがわかった。進化学的解析では、条鰭類の分岐以前に進化した生物のBTKタンパク質は、PH-TH二量体を形成しないが、他のTecファミリーキナーゼに似た活性型キナーゼドメインをすでに有していたことが示された。このようにPH-TH二量体化は、適応免疫システムがより複雑化するにつれ、キナーゼ活性に対してより厳密な制御管理を発揮するように進化したBTKの顕著な特徴である。