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細胞内および核内CXCR4シグナル伝達は赤芽球の終末分化および除核を促進する

Intracellular and nuclear CXCR4 signaling promotes terminal erythroblast differentiation and enucleation

Research Article

SCIENCE SIGNALING
17 Jun 2025 Vol 18, Issue 891
DOI: 10.1126/scisignal.adt2678

Julia Christine Gutjahr1, 2, 3, *, Elin Hub1, 4, Caroline Amy Anderson1, Maryna Samus1, Katharina Artinger1, 5, Esteban A. Gomez6, Christoph Ratswohl2, 3, Natalie Wickli2, 7, Mandy Raum2, 7, Neil Dufton1, Jesmond Dalli6, Jemima J. Burden8, Johan Duchene9, Antal Rot1, 4, *

  1. 1 Centre for Microvascular Research, William Harvey Research Institute, Faculty of Medicine and Dentistry, Queen Mary University of London, London EC1M 6BQ, UK.
  2. 2 Institute of Cell Biology and Immunology Thurgau (BITG), University of Konstanz, Kreuzlingen 8280, Switzerland.
  3. 3 Department of Biology, University of Konstanz, Konstanz 78464, Germany.
  4. 4 Center for Translational Medicine and Therapeutics, William Harvey Research Institute, Faculty of Medicine and Dentistry, Queen Mary University of London, London EC1M 6BQ, UK.
  5. 5 Division of Nephrology, Department of Internal Medicine, Medical University of Graz, Graz 8036, Austria.
  6. 6 Biochemical Pharmacology, William Harvey Research Institute, Faculty of Medicine and Dentistry, Queen Mary University of London, London, EC1M 6BQ, UK.
  7. 7 Graduate School for Cellular and Biomedical Sciences, University of Bern, Bern 3012, Switzerland.
  8. 8 Laboratory for Molecular Cell Biology, University College London, London, WC1E 6BT, UK.
  9. 9 Institute for Cardiovascular Prevention, Ludwig-Maximilians University, Munich 80336, Germany.
  10. * Corresponding author. Email: julia.gutjahr@bitg.ch (J.C.G.); a.rot@qmul.ac.uk (A.R.)

Editor's summary

ケモカインCXCL12は、その受容体CXCR4を介してシグナルを伝達し、胚発生および免疫監視過程における細胞移動、ならびに感染および炎症部位への細胞移動を促進する。Gutjahrらは、骨髄由来CXCL12がマウス骨髄赤芽球(赤血球の前駆細胞)上のCXCR4を活性化し、細胞内および核内CXCR4シグナル伝達が関わる経路を介して、赤芽球の移動ではなく分化を促進することを明らかにした。CXCR4の赤芽球における選択的ノックアウトは、マウスの赤血球産生を阻害した。これらの知見は、CXCL12-CXCR4シグナル伝達が赤血球産生を促進することを示し、赤血球病変の治療のために研究されるべきであることを示唆している。—John F. Foley

要約

ケモカインCXCL12は、受容体CXCR4を介してシグナルを送り、全ての種類の白血球と複数の他種細胞型の移動を誘導する。本研究では、CXCR4がマウス赤芽球(骨髄赤血球前駆細胞)で発現し、走化性ではなく赤血球産生を刺激することを報告する。CXCR4シグナル伝達は恒常的な赤芽球成熟を促進し、主に代謝とクロマチン構成に関与する遺伝子の発現を上昇させた。その結果、赤芽球におけるCXCR4の遺伝子欠損は、後期赤血球産生を阻害し、骨髄赤血球産出を減少させた。CXCL12がCXCR4に結合すると、CXCR4は速やかにエンドサイトーシスされ、Gαiまたはリン酸化β-アレスチン1とともに核膜や核を含む異なる細胞内区画へと移行した。CXCL12シグナル伝達は、赤芽球の伸長、核の凝縮および偏心配置を促進し、赤芽球の除核直前の核周縁における急速なCa2+トランジェントを刺激した。これらの知見は、赤血球生成におけるCXCR4および骨髄由来CXCL12のこれまで明らかにされていなかった生理学的役割を浮き彫りにする。

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