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免疫シナプスにおけるシナプス下小胞と表面マイクロクラスターの動態

Dynamics of Subsynaptic Vesicles and Surface Microclusters at the Immunological Synapse

Research Article

Sci. Signal., 11 May 2010
Vol. 3, Issue 121, p. ra36
[DOI: 10.1126/scisignal.2000645]

Marco A. Purbhoo1, Hebin Liu2, Stephane Oddos3,4, Dylan M. Owen4, Mark A. A. Neil4, Sophie V. Pageon3, Paul M. W. French4, Christopher E. Rudd2,5, and Daniel M. Davis3*

1 Section of Hepatology and Gastroenterology, Department of Medicine, Medical School Building, Imperial College London, London W2 1PG, UK.
2 Cell Signaling Section, Division of Immunology, Department of Pathology, Tennis Court Road, University of Cambridge, Cambridge CB2 1QP, UK.
3 Division of Cell and Molecular Biology, Sir Alexander Fleming Building, Imperial College London, London SW7 2AZ, UK.
4 Department of Physics, Imperial College London, London SW7 2AZ, UK.
5 Cambridge Institute for Medical Research, Addenbrookes Hospital, Hills Road, Cambridge CB2 0XY, UK.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: d.davis@imperial.ac.uk

要約:イメージング研究によって、T細胞と抗原提示細胞(APC)間の接触点におけるシグナル伝達の中心となる キナーゼおよびアダプタータンパク質のクラスターが同定されている。本研究では、キナーゼのZAP-70、およびアダプタータンパク質のLATとSLP- 76が、T細胞とCD3(T細胞抗原受容体複合体の構成成分)に対する刺激性抗体で被覆したカバースリップの界面に、別々のクラスターとして蓄積したこと を報告する。LATの一部は、SLP-76およびアダプタータンパク質のGADS(Shc下流成長因子受容体結合タンパク質関連アダプター)の表面マイク ロクラスターに繰り返し移動する可動性の小胞中に検出され、小胞はそのマイクロクラスターでは運動性の低下を示した。チロシン171およびチロシン191 残基(LATがGADSに結合するために必要)がフェニルアラニンに変異しているLAT分子は、SLP-76のマイクロクラスターとは共局在しなかった。 レーザーピンセットを用いてT細胞-APC接合体を垂直に配置する高解像度イメージング実験の結果、免疫シナプスでも、LAT含有小胞はSLP-76マイ クロクラスターと共局在していた。LATのリン酸化は小胞性LATがSLP-76と共局在している場合に最も顕著であった。実際に、SLP-76マイクロ クラスター内のリン酸化LATの存在量は、より直近にLAT含有小胞との相互作用があったクラスターにおいて最大であった。最後に、抑制性受容体ILT2 による負のシグナルはSLP-76含有マイクロクラスターの集合を阻害した。以上のデータから、LAT含有小胞の移動はタンパク質マイクロクラスターの構 築と関係があり、小胞性LATのSLP-76シグナロソームにおける重要な役割が示唆される。

M. A. Purbhoo, H. Liu, S. Oddos, D. M. Owen, M. A. A. Neil, S. V. Pageon, P. M. W. French, C. E. Rudd, D. M. Davis, Dynamics of Subsynaptic Vesicles and Surface Microclusters at the Immunological Synapse. Sci. Signal. 3, ra36 (2010).

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