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短いRNA二本鎖が細胞種依存的および長さ依存的にRIG-Iを介するアポトーシスを誘発する

Short RNA Duplexes Elicit RIG-I–Mediated Apoptosis in a Cell Type– and Length-Dependent Manner

Research Article

Sci. Signal., 8 November 2011
Vol. 4, Issue 198, p. ra74
[DOI: 10.1126/scisignal.2001614]

Osamu Ishibashi1, Md. Moksed Ali1, Shan-Shun Luo1,2, Takashi Ohba3, Hidetaka Katabuchi3, Toshiyuki Takeshita4, and Toshihiro Takizawa1*

1 Department of Molecular Medicine and Anatomy, Nippon Medical School, 1-1-5 Sendagi, Tokyo 113-8602, Japan.
2 Department of Cardiology, First Clinical College of Harbin Medical University, Harbin, Heilongjiang 150001, China.
3 Department of Gynecology, Faculty of Medical and Pharmaceutical Sciences, Kumamoto University, 1-1-1 Honjo, Kumamoto 860-8556, Japan.
4 Department of Obstetrics and Gynecology, Nippon Medical School, 1-1-5 Sendagi, Tokyo 113-8602, Japan.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: t-takizawa@nms.ac.jp

要約:短鎖二本鎖RNA(dsRNA)は、I型インターフェロン(IFN)を介する自然免疫応答を誘導する。われわれは、in vitroで低分子干渉RNAまたはマイクロRNA前駆体の合成模倣物を用いた機能的研究によって、短鎖dsRNAが、ヒト顆粒膜細胞腫に由来する細胞においてアポトーシスを容易に誘導するが、他の細胞種では誘導しないことを見出した。アポトーシスはdsRNAの配列には依存しないが、その長さに依存し、23ヌクレオチドと24ヌクレオチド(nt)のdsRNAによって誘導されたが、それよりも短いdsRNA(<22nt)またはポリイノシン酸-ポリシチジル酸の長鎖dsRNAによっては誘導されなかった。マイクロアレイ解析によって、アポトーシスはIFN誘導遺伝子の発現増大を伴うことが明らかになった。しかし、いくつかの証拠は、IFNはアポトーシスを直接的には誘導しないことが示していた。その後の解析によって、短鎖dsRNAが、dsRNA活性化プロテインキナーゼ(PKR)を介して、レチノイン酸誘導遺伝子IRIG-I)の発現を増加させることが分かった。これらのdsRNAは、3'突出末端と三リン酸をもたない5'末端を有し、このような構造はRIG-Iを活性化さるとは思われないが、dsRNAはRIG-Iに結合し、主にRIG-Iを活性化し、次にマイトジェン活性化プロテインキナーゼp38を活性化することによって、アポトーシス促進性のシグナル伝達を誘導した。したがって、RNAセンサーによるリガンド認識とそれに続くシグナル伝達は、これまでに考えられていたよりも複雑であることが示唆される。さらに、短鎖dsRNAは顆粒膜細胞腫などの特定の腫瘍を標的とする薬剤として役立つ可能性がある。

O. Ishibashi, M. M. Ali, S.-S. Luo, T. Ohba, H. Katabuchi, T. Takeshita, T. Takizawa, Short RNA Duplexes Elicit RIG-I-Mediated Apoptosis in a Cell Type- and Length-Dependent Manner. Sci. Signal. 4, ra74 (2011).

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