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MNK2は骨格筋においてセリン-アルギニン-リッチプロテインキナーゼが関与する経路を介してeIF4Gの活性化を阻害する

MNK2 Inhibits eIF4G Activation Through a Pathway Involving Serine-Arginine–Rich Protein Kinase in Skeletal Muscle

Research Article

Sci. Signal., 14 February 2012
Vol. 5, Issue 211, p. ra14
[DOI: 10.1126/scisignal.2002466]

Shou-Ih Hu, Mark Katz*, Sherry Chin*, Xiaoqing Qi, Joseph Cruz, Chikwendu Ibebunjo, Shanchuan Zhao, Amy Chen, and David J. Glass†

Novartis Institutes for Biomedical Research, 100 Technology Square, Cambridge, MA 02139, USA.

* These authors contributed equally to this work.

† To whom correspondence should be addressed. E-mail: david.glass@novartis.com

要約:骨格筋量は、活動、代謝、栄養素の利用性による調節を受ける。筋萎縮の際には、MNK2の発現が増大する。われわれは、MNK1ではなくMNK2(マイトジェン活性化プロテインキナーゼ相互作用キナーゼ2)が、真核生物の翻訳開始因子4G(eIF4G)および哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)などのタンパク質合成の促進に関与するタンパク質を抑制することを見いだした。タンパク質の翻訳亢進と関連するeIF4Gのセリン1108(Ser1108)でのリン酸化が、インスリン様増殖因子1によって促進され、ラパマイシン処理あるいは飢餓によって抑制されることから、この残基のリン酸化がmTORによる調節を受けることが示唆される。培養筋管では、MNK2の低分子干渉RNA(siRNA)によるノックダウンによってeIF4G Ser1108のリン酸化が亢進し、このリン酸化イベントに対するラパマイシンの抑制効果が打ち消された。腓腹筋におけるeIF4G Ser1108のリン酸化は、MNK2欠損マウスで亢進したが、MNK1欠損マウスでは亢進しなかった。また、このリン酸化の亢進は、萎縮条件下および飢餓時にMNK2欠損マウスで維持された。反対に、MNK2の過剰発現はeIF4G Ser1108のリン酸化を低下させた。siRNAスクリーニングによって、セリン-アルギニン-リッチプロテインキナーゼが、MNK2活性の亢進とeIF4Gリン酸化の低下を結び付けていることが明らかになった。さらに、われわれは、MNK2はmTORと相互作用し、MNK2のキナーゼ活性とは無関係な機構を介して、mTOR標的であるリボソームキナーゼp70S6K(70kDのリボソームタンパク質S6キナーゼ)のリン酸化を抑制することを見いだした。これらのデータは、MNK2が、タンパク質翻訳の制限において、eIF4GのSer1108リン酸化およびp70S6Kの活性化に対する負の作用を介して、もっとも近いパラログであるMNK1と共通しない独自の役割を果たすことが示される。

S.-I. Hu, M. Katz, S. Chin, X. Qi, J. Cruz, C. Ibebunjo, S. Zhao, A. Chen, D. J. Glass, MNK2 Inhibits eIF4G Activation Through a Pathway Involving Serine-Arginine-Rich Protein Kinase in Skeletal Muscle. Sci. Signal. 5, ra14 (2012).

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