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上皮間葉転換のシグナル伝達機構

Signaling mechanisms of the epithelial-mesenchymal transition

Reviews

Sci. Signal., 23 September 2014
Vol. 7, Issue 344, p. re8
DOI: 10.1126/scisignal.2005189

David M. Gonzalez1,2,3,* and Damian Medici1,2,3,†

1 Departments of Orthopaedics and Medicine, Warren Alpert Medical School of Brown University, Providence, RI 02903, USA.
2 Center for Regenerative Medicine, Rhode Island Hospital, Providence, RI 02903, USA.
3 Cardiovascular Research Center, Rhode Island Hospital, Providence, RI 02903, USA.

Corresponding author. E-mail: damian_medici@brown.edu

* Present address: Department of Biological Engineering, Massachusetts Institute of Technology, Cambridge, MA 02141, USA.

要約 上皮間葉転換(EMT)は、胚発生と組織修復に不可欠な機構である。EMTは、臓器線維症やがんなどの疾患の進行にも関与する。EMTや、血管内皮細胞で起こる内皮間葉転換(EndMT)と呼ばれる同様の転換は、細胞間接着の消失を促進するように遺伝子発現を変化させる転写因子が誘導され、細胞骨格のダイナミクスが変化し、上皮の形態と生理機能が間葉系の表現型へと変わることによって、生じる。EMTにおける転写プログラムの切り替わりは、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)と骨形成タンパク質(BMP)、Wnt-β-カテニン、Notch、Hedgehog、受容体チロシンキナーゼが介在するシグナル伝達経路によって誘導される。これらの経路は、増殖因子やサイトカイン、低酸素、周囲の細胞外マトリックス(ECM)との接触などの、局所微小環境からのさまざまな動的刺激によって活性化される。われわれは、発生、生理、疾患において、これらの経路がクロストークし、微小環境からのシグナルに応答して、EMTを誘導する転写因子の発現と機能を調節する仕組みを論じる。これらの機構を理解すれば、EMTを治療的に制御して、組織再生を促進し、線維症の治療を行い、がん転移を予防することができるようになるであろう。

D.-M. Gonzalez and D. Medici, Signaling mechanisms of the epithelial-mesenchymal transition. Sci. Signal. 7, re8 (2014).

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