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コンテキスト特異的PI3Kシグナル伝達コードを解く

Cracking the context-specific PI3K signaling code

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Sci. Signal. 07 Jan 2020:
Vol. 13, Issue 613, eaay2940
DOI: 10.1126/scisignal.aay2940

Ralitsa R. Madsen* and Bart Vanhaesebroeck*

UCL Cancer Institute, Paul O'Gorman Building, University College London, 72 Huntley Street, London WC1E 6DD, UK.

* Corresponding author. Email: r.madsen@ucl.ac.uk (R.R.M.); bart.vanh@ucl.ac.uk (B.V.)

要約

シグナル伝達の特異性は、様々な環境シグナルを「エンコード」し、その後「デコード」する細胞の能力によって決まる。コンピューターソフトウェアと同様に、この「シグナル伝達コード」は、シグナル伝達ダイナミクスの調節を通じて、細胞プログラムのコンテキスト依存の実行を支配し、疾病を引き起こす突然変異によって破損する可能性がある。IA型ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)シグナル伝達は、正常な成長と発達に重要であり、良性過成長症候群、がん、原発性免疫不全、メタボリックシンドロームなどのヒトの疾病において調節不全になる。何十年にもわたるPI3Kの研究にもかかわらず、PI3K経路および基となるシグナル伝達コードのコンテキスト依存調節の理解は初歩的なままである。ここでは、コンテキスト特異的PI3Kシグナル伝達に関する現在の知識と、技術の進歩によりいかにこの経路の定性的理解から定量的理解への移行が可能になるかを概説する。細胞のPI3Kシグナル伝達がいかにエンコードまたはデコードされるかについての洞察は、PI3K関連疾患の合理的な薬理学的標的化の新たな道を開くかもしれない。ここで記述するPI3Kコンテキスト依存シグナルのエンコードとデコードの原理は、すべてではないにしても、ほとんどの主要な細胞シグナル伝達経路に適用される可能性がある。

Citation: R. R. Madsen, B. Vanhaesebroeck, Cracking the context-specific PI3K signaling code. Sci. Signal. 13, eaay2940 (2020).

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英語原文を見る

2020年1月7日号

Research Article

遺伝性痙性対麻痺SPG8変異はCAV1依存性のインテグリン介在性細胞接着を障害する

GPCR修飾タンパク質であるMRAP2はグレリン受容体GHSR1aの偏向性シグナル伝達と恒常的活性の両方を調節する

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